「4代目エクストレイル」極めて快適な走りの秘密 e-POWER+VCターボの組み合わせは何を生んだか

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日産自動車の4代目エクストレイル
新型エクストレイルはシリーズ4代目(筆者撮影)
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人気のSUVカテゴリー、しかも定評ある日産自動車の「e-POWER」、そして最新技術の「VC(可変圧縮化/Variable Compression)ターボエンジン」と話題ずくめの新型「エクストレイル」に公道で試乗した。2000年から日産が販売するエクストレイルは今年7月に4代目へと切り替わった。

日産自動車 3代目エクストレイル 4代目エクストレイル キックス
左は3代目エクストレイルで右が現行キックス(筆者撮影)

個人的には後輪に独立したリアモーターを搭載する4輪駆動モデル「e-4ORCE」グレードがおすすめだ。以下、その理由をレポートする。

まず、おさらいから。e-POWERとはエンジンとモーターを併用するハイブリッド車なのだが、エンジンは発電に徹し、モーターで走る仕組みだ。シリーズハイブリッド方式に分類される。

同じシリーズハイブリッド方式では、ホンダの各モデルが搭載する「e:HEV」や、三菱自動車のアウトランダー、エクリプスクロスが搭載する「PHEVシステム」がある。ホンダのe:HEVにはエンジン直結モードが、三菱のPHEVシステムにはエンジンとモーターの両方で駆動力をタイヤに伝えるモードが併載されている。

ターボエンジンの過給が何に効くのか

つまりホンダと三菱にはエンジンが動力源として、もしくはエンジンと電動駆動モーターが力を合わせてタイヤに駆動力を伝えるモードがあるが、日産にはそのモードがなく、どんな走行シーンでもモーターが走りの主役だ。

新型エクストレイルでは、そのe-POWERにVCターボエンジンを組み合わせた。VCターボエンジンの仕組みについては、「日産VCターボ『夢のエンジン』が示す3つの将来性」(2021年8月6日配信)で詳しく解説したことがあるが、ざっくりと新型エクストレイルに搭載された「VCターボ×e-POWER」を説明すると次の3点が大きな特徴だ。

①エンジン内部の圧縮比を従来の固定式から、8:1(過給することで高出力)~14:1(グッと圧縮して高効率)の間で自在に変更できる可変式にした。
②マルチリンク機構をコンロッド代わりにすることで、従来の直列1.5L3気筒エンジンよりも振動や音が少なく、より滑らかに回る。
③e-POWERとの組み合わせで発電効率が抜群に高くなった。

ユーザーとして「性能が上がったな」と感じるのは③のパートだ。「ターボチャージャーで過給するとエンジンパワーが増えて速くなる」というイメージを抱かれるかもしれない。だが、e-POWERはそもそもタイヤを直結していないから、単にターボ化して過給効果を得てもクルマは速くならない。もっといえば既存のe-POWERが遅いわけでもない。では、なぜe-POWERはVCターボ化されたのか。

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