高速道路の本線合流シーンでアクセルペダルをいっぱいまで踏み込むとエンジンが主張し始めるものの、意識してようやく3気筒エンジンのビート音が聞こえる程度でエンジン透過音自体が小さい。また、可変圧縮化のマルチリンク機構により振動がともかく少ない。これもエンジンの存在を意識しない理由だ。
e-4ORCEの力点については、「日産が担う最新『4輪制御技術』は何が違うのか」(2020年4月28日配信)で解説したことがあるが、雨に濡れた狭い山道であっても、重心位置が高めで重量のかさむボディ(試乗モデルで1880kg)をスッと安全に走らせてくれるため、効果はすぐに体感できた。
車内の揺れがとても少ない理由
また、単なる加減速でも前後モーターの協調制御によって、いつもの運転操作をするだけで前後方向の荷重移動がスムースに行えるので、車内の揺れがとても少ない。また、新型エクストレイルの「e-Pedal Step」では油圧ブレーキシステムとの協調により、最大で2.0m/s2(≒0.2G≒ちょっと強めの減速度)が生み出せるが、その減速度をコントロールするアクセルペダルの戻し方向の制御も秀逸だった。
さらに回生ブレーキでの減速時は、国の定めるブレーキランプの任意点灯領域(0.7m/s2を超え、1.3m/s2以下の減速度)であっても点灯させることで、後続車への意思表示をしっかり行っている。
「e-4ORCEの潜在的能力は非常に高いです。しかし、われわれはカーブでの高いコーナリング性能だけをe-4ORCEのウリにするのではなく、滑りやすい路面など路面状況が悪くなったときでもドライバーや同乗者に不安を抱かせないこと、これを大きな開発目標に商品化してきました」(運動性能を開発した日産の担当者)というが、この1点だけでもe-4ORCEを選ぶ大きな理由になる。ちなみに前輪駆動モデルで同装備の「G」グレードは、試乗したG e-4ORCEよりも20万0200円安い429万8800円だ。
最後に気になる燃費数値で締めくくる。自身の愛車であるかようにごく普通に運転操作を行った結果、信号機の少ない郊外路では最高値で21.4㎞/L、高速道路ではACC+車線中央維持機能であるProPILOTを80㎞/hに設定した状態で同23.0㎞/L。筆者の取材歴を照らし合わせると、アウトランダーPHEVやCR-V(e:HEV)とほぼ同程度であった。
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