「4代目エクストレイル」極めて快適な走りの秘密 e-POWER+VCターボの組み合わせは何を生んだか

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144PS/25.5kgf・mを発生する直列3気筒VCターボエンジン
144PS/25.5kgf・mを発生する直列3気筒VCターボ(筆者撮影)

目的はとても明確。発電能力を高めるためだ。わかりやすくターボで過給するとエンジンパワーとともにエンジントルクが増大する。ここに疑問はないだろう。一方、e-POWERの発電能力を高めるためには、たくさん発電用モーターに電力を送らなければならず、必然的にエンジンの回転数を高める必要があった。e-POWERには2次バッテリーが組み合わされるがシステムの性格上、その容量は小さく、連続した加速力に必要な発電量を得るにはエンジンの回転数に頼らざるをえなかったからだ。

e-POWER搭載車は、アクセルペダルを深く踏み込み加速させるとエンジンが始動し、そして高めの回転数を保ったままグイグイ加速していく。元気よく加速しているときにエンジンが高回転域を常用するからドライバーとしてはそれほど違和感を抱かない。……しかし、「もう少しエンジンが静かだといいな」という声が出ていたのも事実だ。

これまでe-POWERでは、ターボなど過給機の付かない直列3気筒1.2Lの自然吸気エンジンを搭載していた。シリンダーのボア×ストローク比1.07のロングストローク型として、低回転域でもトルクを出しやすい設計としていたものの、1.2Lという小排気量であることから、やはり出力/トルクを増大させるには自ずとエンジン回転を高める必要があった。

走りは爽快だが騒がしいという弱点を解消

e-POWERの走りは爽快だが、連続する加速シーンだとエンジンが高回転域を常用するから騒がしい……。筆者はこれまで、この事実がe-POWERの数少ない弱点だと考えていた。

日産自動車の4代目エクストレイル
タフギアとして人気だった初代を色濃くイメージ(筆者撮影)

新型エクストレイルに搭載された直列3気筒1.5LのVCターボエンジンとe-POWERの組み合わせでは、その弱点を次の手法で大きくリカバリーした。効率の良い、静かで力強い発電に必要なのは、低回転域で豊かなエンジントルクであること。これが考え方の要だ。

A/低圧縮比モードの際にターボの過給効果を大いに活用できる。
B/過給効果によりエンジン回転数が低くても発電用モーターが求めるトルクが得られるので、電動駆動モーターに十分な電力が供給できる。
C/大きな発電が必要ない場合は、高圧縮比モードにして少ないガソリンで高効率化する。

エンジンのトルクと発電用モーターの関係は、ギア付きの自転車に乗る人の脚力と、その自転車に装着した発電式ライトの関係で考えるとわかりやすい。脚力がエンジントルクで、発電式ライトがe-POWERの発電用モーターにあたる。

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