発進時、ペダルをこぐ力を軽くする低速ギアを選ぶと確かに軽々動き出すが、タイヤの回転力に応じて明るくなる発電式ライトに電力を供給するためにはたくさんこぐ必要がある。急加速時にe-POWERのエンジンがブーンと高回転(3600回転程度)を多用するのはコレと同じ考え方だ。では、最初から速度が出る高速ギアを使えばいいが今度はこぐ力が重くなる。
そこで新型エクストレイルのVCターボでは、過給システムに工夫を凝らして1600回転程度のエンジン回転数で十分なトルクを生み出した(1.5LVCターボの最大トルクは25.5kgf・m/2400~4000回転)。
脚力が強い(豊かなエンジントルクが低回転域から得られる)から、発進時から高速ギアが使えて、脚の運びはゆっくりでも(エンジン回転数は低くても)速度はぐんぐん高まる(発電用モーターがたくさん発電できる)。
結果的に、エンジンを低い回転域で回しても十分な発電能力が継続的に得られるから、車両前後に搭載した2つの電動駆動モーターは、その性能をいつでも、静かに堪能できる。言い換えればe-4ORCEの恩恵をいつでも、どこでも、快適に(静かに)味わえる。
優れた燃費を保ちながら爽快な走りを実現
エンジン直結モードを持たない代わりに、エンジンと発電の関係を見直し、発電効率を上げることでエンジンそのものの負荷も減らせる、つまり優れた燃費数値を保ちつつe-POWER本来の気持ちの良い走りが得られる。これがe-POWERにVCターボを組み合わせた最大の理由だと筆者は考える。
今回試乗したのは4輪駆動モデルの「G e-4ORCE」(449万9000円、試乗車自体はナッパレザーシートやパノラミックガラスルーフなど各種オプション装備が組み込まれて499万9500円)だった。確かに高額だが、得られる走行性能からすれば納得できた。
車両そのものの遮音性がとても高いこと、第2世代のe-POWERシステムによって車速がある程度上がってからエンジンを始動させるなど、走行状況と充電状態に応じて緻密な制御を行うことから、市街地走行ではほぼエンジンの存在を意識することがなかった。
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