のりもの(自動車)の電動化は、二酸化炭素(CO2)に代表される温室効果ガス(CH4/メタンやN2O/一酸化二窒素など)の削減が主たる目的だ。
そのうえで、移動の高効率化という観点から乗用車における自動運転技術の積極的な導入や、MaaS(Mobility as a Service/サービスとしての移動体)におけるレベル4以上の高度な自動運転技術を電動化と組み合わせる。ここも大きなテーマだ。この先、自動化と電動化は対になって昇華される。
国土交通省と経済産業省の共同データ(2017年度)によると、世界で販売されている自動車のうち、99%にあたる約9418万台がICE(Internal Combustion Engine)、つまり内燃機関(エンジン)を搭載していると示されている。
電動化が進む一方、エンジンにもまだまだ伸びしろ
ガソリンや軽油など化石燃料を燃焼させて駆動力を得る内燃機関車両には、その応用編としてハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車(PHV)が含まれる。内燃機関を軸にモーター、インバーター、バッテリーを搭載した2つ目の動力源との合算(ハイブリッド)により駆動力を得ているからだ。これについては広く一般的に知られるようになった。
では、本題の温室効果ガスの削減についての議論はどうか?
トヨタ自動車では、2015年10月に「トヨタ環境チャレンジ2050」を発表。2050年グローバル新車平均CO2排出量を2010年比で90%削減するとした。さらに、2050年グローバル工場においてCO2排出ゼロを目指したり、ライフサイクル全体でのCO2排出ゼロを目指したりもする。トヨタらしい多角戦略だ。さらに2021年6月には、掲げていた2050年グローバル工場におけるCO2排出ゼロを15年前倒し、2035年に達成を目指すと改めた。
一方、内燃機関にもまだまだ伸びしろがある。新技術を用いて燃焼効率を改善させ、いつも通りの運転操作でも燃費数値が向上する……、そんな技術開発が電動化と並行して行われているのだ。
日産自動車では、2016年8月に世界初となる量産型可変圧縮比エンジン「VCターボ」を開発。同年9月のパリモーターショーで「インフィニティ」ブランドの「QX」シリーズに搭載することが発表された。
そしてVCターボは2018年に「インフィニティQX50」に初めて搭載され、その後、現在に至るまで北米市場向けの車両を軸に搭載車種を増やしている(現時点、国内市場には未導入)。
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