トヨタのおひざ元で「不正車検5000台」の衝撃

整備事業の指定取り消し、整備士7人を解任

不正車検が発覚したネッツトヨタ愛知を傘下に持つATグループは愛知県内最大手のディーラー(記者撮影)

「今回のような不正が本当にありえるのかと思った。どんなに作業が忙しくても絶対に越えてはならない一線だ」――。トヨタ自動車の販売店で発覚した不正車検について、他メーカーの販売店社長はそう口にした。

国土交通省中部運輸局は3月30日、ネッツトヨタ愛知の販売店(プラザ豊橋)の不正車検に対する行政処分を発表した。法令違反の対象台数は5158台。この店で2018年12月22日~2021年1月13日に車検を行ったすべてに当たる。ネッツトヨタ愛知を含めて4つのトヨタ系販社を持つATグループ(名証2部上場)は、愛知県内で最大手のディーラーだ。

今回の不正は2020年12月、中部運輸局が行った抜き打ちの監査で発覚した。プラザ豊橋では、排ガスの一酸化炭素濃度やスピードメーターの誤差、サイドブレーキの制動力などに関する点検・検査を省いて基準適合証を交付したり、実際に検査したかのような虚偽の整備記録を作成したりしていた。

不正に関与した整備士は中部運輸局の監査に対し、「過剰な入庫が常態化し、顧客を待たせないように一部の検査を省いてしまった」と話したという。

自動車販売店における車検は、国が行うべき業務を代行するもので、販売店には「指定工場」、整備士には「自動車検査員」の資格が国から与えられている。今回の不正で、中部運輸局はプラザ豊橋店での自動車整備事業の指定を取り消し、整備士8人のうち不正に関与した整備士7人について自動車検査員の解任命令を出した。この処分で、プラザ豊橋では2年間は自動車整備事業の申請ができず、7人の整備士も2年間は車検業務ができない。

「店長は指示していない」

法令違反の対象となった5158台について、ATグループのほかの販売店(愛知トヨタ自動車、トヨタカローラ愛豊、ネッツトヨタ愛知)にも協力を仰ぎ、車両の再点検・再整備を行う。作業の完了には8カ月かかる見通しだ。

県内に約30店を展開するネッツトヨタ愛知は今回の問題を受けて、ほかの店舗の整備士全員に聞き取りし、「同種の不正はなかったことを確認した」としている。

だが、不正が公になってから、他店舗で車検を受けた顧客から、「自分の車は大丈夫か」といった問い合わせが相次いでいるという。過去2年間にネッツトヨタ愛知の別の店舗で行った車検についても、全ての車両を対象に再点検・再検査を実施する方向で準備を進めている。

違反行為の対象となっている5158台の再検査を最優先しつつ、ほかの店舗で扱った車検の車両も再点検するのだから、その作業量は膨大だ。

ネッツトヨタ愛知は今回の不正について、「(プラザ豊橋の)店長は指示していない」とし、あくまでも整備士が不正の認識がありながら、自主的な判断で行ったとしている。そのうえで、「1台当たりにかかる車検の時間の認識が適当ではなかった」「(車検の予約を受け付ける)営業部門と整備部門の意思疎通が不十分だった」と釈明する。

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ネッツトヨタ愛知「不正車検5000台」の衝撃

愛知県に12社「トヨタ販社」の序列

販売会社はなぜ「車検」の顧客を取り合うのか

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