ホンダが全額負担、東上線に新駅を造る狙い

10月末に工場最寄りの「みなみ寄居」駅が開業

東武東上線に誕生する新駅「みなみ寄居 <ホンダ寄居前>」の工事現場=2020年8月(筆者撮影)

鉄道と自動車は昔からライバルとして位置付けられることが多かった。しかし自動車工場で働く従業員の通勤や完成車・部品の輸送に鉄道が使われることは多い。

我が国では完成車の輸送はなくなったが、従業員向けでは岡山県の水島臨海鉄道水島本線の旅客輸送終着駅として三菱自工前駅があるし、JR山陽本線向洋(むかいなだ)駅はマツダ広島本社および本社工場に近く、東武鉄道伊勢崎線・桐生線・小泉線の太田駅はSUBARU(旧富士重工業)群馬製作所本工場の最寄り駅として知られている。

かつては「トヨタ自動車前」駅も

かつては名古屋鉄道挙母(ころも)線にトヨタ自動車前という名称の駅があった。1937年に三河豊田駅として開業した駅を1959年に改称したものだ。トヨタがこの地に工場を設立したのは三河豊田駅が生まれた翌年で、駅名改称の年には市の名称も挙母市から豊田市になっている。

名鉄挙母線は1973年に廃止されたが、その前から貨物専用線として存在していた旧国鉄岡多線が3年後に旅客輸送を開始した際、三河豊田駅が同じ場所に復活しており、第3セクターの愛知環状鉄道に転換後もトヨタ自動車本社および本社工場の従業員が利用している。

東武の太田駅やJR向洋駅は第2次世界大戦前に開業しており、三菱自工前や三河豊田駅も半世紀近い歴史を持つ。自動車工場は広い敷地が必要なので、近年は郊外に立地するパターンが多く、完成車や部品の輸送は自動車になり、従業員もマイカー通勤が主流になっている。自動車工場のための駅が出現するのは難しい状況だ。

だからこそ、今年10月に東武鉄道東上線に開業する埼玉県寄居町のみなみ寄居駅は異例と言える。駅の西側に隣接するのが本田技研工業(ホンダ)埼玉製作所の寄居完成車工場だからだ。

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