ホンダが全額負担、東上線に新駅を造る狙い 10月末に工場最寄りの「みなみ寄居」駅が開業
ホンダはご存じのように、現浜松市天竜区出身の本田宗一郎氏が創設した会社で、当初は浜松市を拠点としていたが、まもなく東京に進出。その後、隣接する埼玉県に研究所や工場を次々に開設していった。
現在ホンダ埼玉製作所は、2013年に稼働を開始した寄居工場のほか、1964年設立という長い歴史を誇る狭山市の狭山完成車工場、2009年から生産を始めた小川町の小川エンジン工場がある。またホンダの研究開発を行う会社として1960年に分離独立した本田技術研究所の本社は和光市にあり、隣の朝霞市にも研究施設がある。
ホンダ広報部によると、寄居工場の建設にあたってはとくに埼玉県にこだわったわけではなく、研究所やサプライヤーなどの位置関係を考慮したうえで、いくつかの候補の中から同社が選んだという。ホンダの拠点は東武東上線沿線に多いことも目立つが、これも偶然であり意図してはいないそうだ。
寄居工場は寄居町の南部にある。南端は小川町に接しており、東武東上線と国道254号線バイパスに囲まれた土地にある。やはり254号バイパスに面した小川エンジン工場との距離は2kmほどだ。関越自動車道の花園インターチェンジからも約6kmと近い。年間25万台の生産能力がある大工場であり、稼働開始時の従業員数は約2000人と発表されている。
副駅名が「ホンダ寄居前」
この地に新駅の話を持ちかけたのはホンダのほうだった。
「近くを走る国道254号線の渋滞を懸念しており、現時点でも東武竹沢駅から専用バスを出していますが、公共交通利用を促進すべく、東武鉄道と話し合いを重ね、新駅設置となりました。設置費用はホンダ側の全額負担となります」(ホンダ広報部)
東武鉄道によれば、2017年11月にホンダから検討の申し出があり、協議を重ねた結果、新駅の設置や場所についてまとまったため、2019年6月に発表した。同年12月には開業日が2020年10月31日に決定するとともに、駅名が「みなみ寄居」、副駅名が「ホンダ寄居前」に決まった。
「駅名および副駅名については、ホンダの請願駅であることからホンダの意向を踏まえて、当社より新駅名称の候補案を提示し、両社において調整を図り候補案をまとめ、最終的に当社で決定しました」(東武鉄道広報部)
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