ホンダが全額負担、東上線に新駅を造る狙い 10月末に工場最寄りの「みなみ寄居」駅が開業
ホンダが公共交通でのアクセスにこだわる理由には、2017年に発表した埼玉製作所完成車工場の寄居への集約化もあるだろう。この集約は2021年度をメドに完了する予定で、狭山工場の従業員は寄居工場を中心に異動することにも触れており、今より多くの従業員が寄居工場に向かうことが予想される。増加分がすべてマイカー移動になると渋滞がひどくなるという予想もしているはずだ。
また寄居工場は、世界中の生産拠点に対してホンダのものづくりを発信していく役割も担っていくとしている。従業員だけではなく、生産技術の関係者なども訪れることになるわけで、公共交通手段の確保は重要である。
ちなみに狭山工場も、西武鉄道新宿線新狭山駅から徒歩圏内にある。また2022年3月に栃木県宇都宮市・芳賀町で開業予定の宇都宮ライトレールの終点の電停は本田技研北門となる予定で、2004年まで高根沢工場として稼働し、現在はホンダおよび本田技術研究所の開発拠点となっている施設の目の前に電停が置かれる。
ただし狭山工場は川越狭山工業団地、旧高根沢工場は芳賀・高根沢工業団地の一角にあり、新狭山駅および本田技研北門電停は、ホンダや本田技術研究所のためだけに考えた乗降場ではない。しかし一連の経緯を見ると、ホンダは自動車工場のアクセスに鉄道は重要と考えている会社のひとつと感じられる。
新駅ができる場所は…
東上線の新駅は東武竹沢駅と男衾(おぶすま)駅のほぼ中間に作られる。JR八高線との乗換駅である小川町駅から東上線に乗ると、八高線が西側に離れていくところで東武竹沢駅になる。同駅を出ると今度は国道254号線バイパスがオーバークロスする。このあたりから線路の両脇が森で覆われるようになる。すると突然、駅の工事現場に差し掛かる。ホームは1面1線で、橋上駅舎から西側に隣接する工場へ向けて連絡通路が用意されることがわかる。
道路では寄居町中心部側からのアクセスに限られる。国道254号線を小川町方面に進むと、男衾駅の先で東上線の線路と接近し、再び離れる場所がある。ここで左に分かれる細い道に入ると、小さな集落を通過し、左に線路を見ながら田畑の中を進んだ先に、新駅の工事現場が現れる。
新駅の周囲には住宅はないが、地域住民のための出入り口も用意する予定で、JR東日本鶴見線海芝浦駅のように工場専用駅になるわけではない。ただし東武鉄道としては、駅前広場の整備や周辺の住宅開発は現状では考えていないという。
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