今回、「第2世代VCターボ」と日産が説明する直列3気筒1.5LとなるVCターボ搭載車に試乗した。同時に試乗した「第1世代VCターボ」である2.0L・VCターボに続くVCターボエンジンだ。
この1.5L・VCターボは204馬力/31.1kgf・mとなかなか強力なスペックをもつ。トランスミッションであるCVTとの連携もスムースで、4気筒に比べて振動特性で不利なはずの3気筒ながら振動がとても少なく、一般的な4気筒エンジン並みであった。騒音も抑えられ、3気筒特有のブーンと小さく唸る燃焼音も車内ではほとんど聞こえない。
メーター内の圧縮比モニターを走行中に確認してみると、加速させる際には排気量が小さい分、2.0L・VCターボよりも早めに圧縮比8:1(高出力)側にシフトする。さらに中~高回転域ではスピーカーから図太いサウンドを流して力強さも演出していた。
e-POWER搭載で燃費10~15%向上も
この第2世代VCターボ(直列3気筒1.5Lターボ)にe-POWERを組み合わせると、1.2Lエンジンで3600回転以上だった運転状況で2400回転あたりまで回転数を下げることが理論的に可能になるという。
こうなると騒音、振動ともに劇的に低くなる。公式な見解ではないが、取材現場に居合わせた技術者によるとe-POWERにVCターボを組み合わせると、「燃費数値にして10~15%程度は向上するだろう」とのことだった。
2021年2月、日産は次世代「e-POWER」発電専用エンジンで世界最高レベルの熱効率50%を実現する技術を発表した。このエンジンにVCターボを組み合わせたとの説明はないが、エンジン形式は直列3気筒1.5Lと、第2世代VCターボで披露されたものと一致する。
これまでの量産エンジンにおける熱効率は40%中盤が限界とされてきたが、日産が新たに開発した新燃焼コンセプト「STARC」(Strong Tumble and Appropriately stretched Robust ignition Channel)を用いることで50%台が実現する。STARCとはシリンダー内部の混合気の流れを適切にコントロールして、高い圧縮比でも安定して燃焼させる技術のことだ。
日本のCO2総排出量(11億3800万t)のうち、運輸部門は18.5%にあたる2億1000万t。このうち自家用乗用車が46.1%の9697万t。ざっくり日本ではCO2の約8.5%が乗用車から排出されている(2018年度・国土交通省発表)計算だ。
日本でいえば、この8.5%をさらに下げるために、電動化がひとつのプランとして挙げられた。しかし、今回のVCターボのように内燃機関であっても単体で効率を上げることができ、さらにe-POWERの運転環境を改善(前述した発電エンジン回転数の低下)するなど、電動化車両への貢献も期待できる。
内燃機関を主軸とした電動化パワートレインの協調進化。この新たなタッグにも注目していきたい。
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