日本では車両を運転するドライバーの高齢化対策が急務であり、2022年5月13日に施行された改正道路交通法では、75歳以上の方が免許更新される際の手続きに次の3点が織り込まれた。
②高齢者講習の一元化
③運転技能検査の新設
である。
高齢になると加齢、つまり年齢を重ねたことにより、視野障害や身体機能低下、筋肉の衰えなどにより、運転時の操作ミスが起こりやすくなる。これは程度の差はあれ、誰でも必ず影響を受ける。
だからといって運転免許証を返納するだけでは根本的な解決にはつながらない。しかしながら、これまで車を利用することで得ていた移動の自由を、WHILLをはじめとした電動車いすだけで賄うことも、また難しい。
よって、運転免許証を返納する前に、「一人では運転しない」、「暗くなったら運転しない」、「流れの速い国道やスクールゾーン近くは走らない」など、自分の運転操作から鑑みて危険であると思しき道路状況では運転しないことを家族と話し合い、返納までにワンクッション置いてみる、こんな試みも選択肢のひとつになるのではないか。
車載ドライブレコーダーを常時録画モードにして週に1度、家族とともに運転チェックをしてみるのも手だ。他から運転免許証の返納を急かされたり、単純に年齢だけで返納を迫ったりするのではなく、高齢ドライバー自らが危険を意識して返納へと向かう流れが、理想論ではあるが現時点では好ましい。年を重ねると人の話に耳を傾けにくくなると言われるが、それでも孫から「おじいちゃん、おばあちゃん、運転気をつけてね!」と笑顔で語られたら蔑ろにはできないだろう。
WHILLの自動運転技術の昇華に期待
WHILLのような近距離モビリティにしても、空港で実用化や実証実験が行われている自動運転技術のさらなる昇華に期待したい。近い将来、自動運転技術が歩道で応用可能になれば高齢者のQOL(Quality of Life/生活の質)を下げることなく近距離の移動が実現する。
WHILLのような人との距離が近い乗り物が普及しても、それだけで日本をはじめとした先進国が抱える高齢ドライバーの課題克服にはつながらない。しかし、運転免許証を返納するか否かという二者択一の現状からは間違いなく一歩前進する。車がないと生活できない高齢ドライバーもいれば、近距離モビリティでも生活スタイルを変えることで乗り切れる高齢ドライバーがいるはずだ。こうした選択肢を増やすことこそ、すぐにできる対応策だと思う。
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