マンションだから安心とは言えぬ「水害」の怖さ 防災対策の見直し、管理組合の果たす役割とは?

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マンションの防災対策においては、マンションだからこそ気を付けなければならない点があるようです(写真:pixelcat/PIXTA)
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地球温暖化に伴う気候変動などにより、従来想定されなかったような気象現象が日本各地で発生するようになった。積乱雲が次々と発生し、ラインのようになってとどまる線状降水帯は、集中豪雨となって大きな被害をもたらしている。8月上旬には、東北・北陸各地でも記録的な大雨の影響により、橋の崩落や河川の氾濫などの大きな被害が発生したばかりだ。

かねて日本は自然災害の多い国として知られている。日本列島の周辺には4つものプレート(岩盤)が集中するため、地震が起きやすい場所にあることが理由の1つだ。

実際に1995年の阪神・淡路大震災や2011年の東日本大震災などの大規模な地震を経験し、地震に強い建築物を作るべく対策が講じられてきた経緯がある。新耐震基準に適合するマンションが「地震に強い」と言われるのもそのためだ。

マンション特有の事情

一方、マンションの防災対策においては気をつけるべき特有の事情もある。例えば上層階は揺れが激しい傾向にあったり、共用部が損傷する可能性や停電などにより共用設備が利用できなくなったりするリスクへの対策を講じなければならない。場合によっては給排水設備の破損による断水のリスクも配慮に入れておく必要が出てくる。

多くの世帯が暮らすマンションでは、こういった事情を鑑みた上での体制整備が不可欠だ。そして非常時の食料、飲料水、トイレなど災害発生への備えは各々の居住者が行う自助が基本だが、建物全体の対策は管理組合が主体となり共助として進めていかなければならないのだ。

このように地震や火災などの防災対策については、マニュアルの構築や訓練などの必要性が注目される機会が増えている。他方水害については、これまでそれほど注視されてはこなかった。マンションの水害が大きくクローズアップされたのは2019年、台風19号が関東地方に大きな被害をもたらした時だろう。

人気エリアである武蔵小杉のタワーマンションが浸水被害を受け、地下の電気設備などが水没、停電や断水が発生。復旧にも時間を要し、「水害」というマンションの新たなウィークポイントを浮き彫りにした。

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