マンションだから安心とは言えぬ「水害」の怖さ 防災対策の見直し、管理組合の果たす役割とは?
雨量に関しては「降雨強度」に注目することも大切だ。雨は1時間の間に均等な量が降り注ぐわけではない。強くなったり、弱くなったりすることもある。そこで10分間などの限られた時間に瞬間的に降った雨量を計測し、10分間の雨量が1時間続いたと考えて降った雨(㎜/h)として換算する方法になる。
例えば1時間当たり50㎜の降雨があったとしても、雨の降り方で10分間に20㎜、残りの50分間で30㎜降るというようなケースも当然あるだろう。
一方で瞬間的な雨の強さとして計算すると、20㎜の6倍(60分)ということで120 ㎜/hという大きな値となるのが降雨強度の考え方だ。1時間に50㎜の雨が降った場合に比べ、瞬間的にざーっと雨が降る=瞬間的にパワーの大きい雨が降ることになる。
つまり50㎜程度の排水機能がある設備であっても、10分間で20㎜のような降雨があった場合には水の処理が追いつかないわけだ。近年のゲリラ豪雨のように、短時間に集中して降雨する場合、氾濫のリスクは非常に高くなる点を覚えておいてほしい。
管理組合が取り組むべき具体的な水害対策
それではマンションの水害対策としてどのような備えを講じていけばいいのだろうか。まずは、換気口や出入り口といった開口部や地下の設備への浸水を防ぐための対策を考える必要がある。具体的には水が入らないようせき止める方法を簡単にご紹介していく。
防水板とも呼ばれ、エントランスや機械式駐車場、エレベーター前などさまざまな開口部に設置できるストッパーのことだ。地下鉄の出入り口に設置されているのを見かけた方もいるだろう。シートタイプから樹脂製、金属製まで幅広い種類がある。安価なシートタイプで30万円~、少し頑丈な樹脂や金属板タイプのものということになると大体50万円~という価格が一般的だ。
止水板と比べると頑丈で、マンションのライフラインである地下の電気室・ポンプ室への浸水を防ぐのに適している。3~5mなどある程度の深さでも浸水を防げるため、本格的な浸水対策が可能だ。そのため値段も300万円~と高額になるのが導入のネックともなる。
袋の中に土砂を入れた土のうも水をせき止めるのに有効だ。リーズナブルで扱いやすいが、重量があるため女性や子ども、高齢者などにとっては使いづらいのがデメリット。また保管場所も必要になる。土のうより入手しやすい水のうを使うのもおすすめ。使い捨てにはなるが、水を入れて使うため普段はかさばらない上、扱いやすい。
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