富山のある村では、10年以上にわたり、職員の3分の1がパワハラを受けていた事態が発覚しました。
自治体から警察、学校、企業まで、パワハラのニュースを聞かない日はありません。まさに、「パワハラ地獄、日本」といった様相です。
10年で2倍以上も増えた「パワハラ」
「パワハラ」とは、「強い立場の者が、その力を利用して、より低い立場の者に嫌がらせやいじめを行うハラスメントや職場のいじめ」を意味しますが、都道府県の相談コーナーに寄せられた相談件数は、2019年に8万7570件。
この10年で2倍以上に増加しています。厚生労働省の調査では、31.4パーセント、実に回答者の3分の1が「パワハラを受けたことがある」という驚きの結果でした。
2019年5月、「改正労働施策総合推進法」(通称「パワハラ防止法」)が成立し、企業(事業主)が職場におけるパワーハラスメント防止のために、雇用管理上必要な措置を講じることが義務付けられました。
大企業では2020年6月、中小企業では2022年4月から「パワハラ防止法」が施行されていますが、まだまだ根絶には程遠い状況です。
そもそも、この国で、なぜ、パワハラがはびこるのでしょうか。その背景には、日本独特の「労働文化」「コミュニケーション文化」があります。
「今日の仕事は、楽しみですか」という広告が炎上したことがありましたが、日本には、「仕事や勉強は『苦行』であり、つらさや痛みに耐え、乗り越えてこそ、成長できる、目的が達成できる」という、極めてスポコン的な価値観が根強くあります。
「ほめるのは甘やかすことであり、パワハラはある意味、苦しみを与え、成長させるために必要な指導である」ととらえる上司やトップが生まれやすい素地があるのです。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら