一橋も学部を新設「データサイエンス人気」の虚実 ビジネスでは人材のミスマッチも起きている

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それでも「自分のスキルを社会にもっと役立てたい」と、2019年に金融リサーチ会社に転職。クオンツアナリストとして分析の経験を積みながら、フリーランスで複数社のデータ分析を手掛けるようになった。

データサイエンスの専門部署があるEYに入社したのは2020年。メンバーはデータ収集癖、分析癖のある人が多く、濵田さんは「バイクが趣味の上司は、バイクにいろいろなセンサーをつけてデータを取っています。私はやる気が出るタイミングをデータで実証したくて、自分の生活ログを記録して、どういう状態なら難しい本をすらすらと読めるか研究しています(笑)。新しい知見や興味深い論文を見つけるとチームで共有して『もっと掘り下げたら面白いね』と盛り上がっています」と話す。

製造業や小売業からも期待が高まる

データサイエンティストという職業が産業界で注目され始めたのは、スマートフォンの普及により、ユーザーのデータが取りやすくなった約10年前だ。

データ分析ツールを提供するアマゾンウェブサービス(AWS)ジャパン技術推進本部の小林正人本部長(写真:本人提供)

2013年に産学が連携して設立したデータサイエンティスト協会の佐伯諭事務局長は、「協会発足時はインターネットマーケティングなどIT・広告業界での活用が中心で、次第にほかの業界にも広がっていきました」と話す。

データ分析ツールを提供するアマゾンウェブサービス(AWS)ジャパン技術推進本部の小林正人本部長によると、センサーやカメラの価格が下がったことで工場や店舗に設置しやすくなり、さまざまなデータを集められるようになったことから、製造業や小売業界で「業務改善や新しい製品・サービスの開発に役立つ知見が得られるのでは」との期待が高まった。グローバルと比較すると日本は、製品の外観検査や人手不足解決のためにデータを活用する動きが目立つという。

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