人間関係で「失敗する人」「うまくいく人」の決定差 自他の「境界線」を持てないまま成長した結果…

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行動

こうしてコミュニケーションがとれただけでは、線引きが成功したとは言えません。行動して、その内容を発展させる必要があります。相手があなたの気持ちを酌み取ってくれると当て込むと、心地の悪い人間関係を招きかねません。重要なのは行動です。

たとえば、友人にこう言ったとしましょう。「一緒に作った計画を守ってもらえるかが、私にとっては大切なの。もしも変更が必要なら、出かける数時間前までにメールしてね」。あなたは自分の境界線についてきちんと説明したのですから、もしもそれが破られたら行動で強く示さなければなりません。この場合であれば、事前の連絡もなく計画を勝手に変えられたら、それには応じられないと伝えればいいのです。丁寧に「一緒に出かけたかったけれど、どうしても予定を合わせられないの。来週に仕切り直しをしましょう」と言ってもいいのです。

もちろん、難しいときもあるでしょう。でも、行動を通して境界線を守る以外に、あなたが真剣に考えていることを分かってもらえる方法はありません。行動が伴えば、あなたの人生に関わる人たちは、あなたの境界線を真摯に受け止めてくれるはずです。

境界線は、あなたのためでも、相手のためでもある

私のワークショップでは、参加者に境界線についてうまく伝えられなかったときの体験を話してもらっています。

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なぜなら、ひとたび制限を設ければ、相手は従ってくれるものと信じ込んでいる人があまりにも多いからです。そうした人たちは、自分の限度を人に説明しても、実際の行動で示しません。そして、行動が欠けていると、人間関係において境界線が侵害される恐れが高まります。

ですから、あなたの境界線は尊重に値するものだと分かってもらう努力を惜しんではいけません。境界線を維持することは、あなたの責任なのです。

一番大きな不安は、相手がどう反応するか分からないところにあると思います。どんな反応が起こり得るかを知って、心の準備をしましょう。

ネドラ・グローバー・タワブ セラピスト

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ねどら・ぐろーばー・たわぶ / Nedra Glover Tawwab

リレーションセラピストとして12年人間関係療法を実践しているカイドスコープカウンセリング創始者。NYタイムズ、ガーディアン紙にも登場し、メンタルヘルスにかんするインスタ発信が話題。フォロワー100万人。

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