王将と日高屋、コロナ禍で「明暗」分かれた拠所 共に高収益体質だが販管費の圧縮で差がついた

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両社はコロナ前の決算までは高い収益性を維持していた一方、コロナ禍の影響により、決算ではっきりと差がついてしまいました。はたしてどちらが黒字を維持したのか、一緒に考えていきましょう。 

「どちらも利用経験がある」という方はいらっしゃるでしょうが、店舗の中やお客さんの様子をイメージしてみても、大きな違いは思いつかないかもしれません。 

与えられている情報から両社の異なる点を見てみると、販管費の大きさが異なることがおわかりになるかと思います。 

販管費とは、人件費や店舗の家賃などの固定費のことであり、この販管費を圧縮できているほうが黒字になっているようです。 

「より販管費を圧縮できる」ビジネスの1つとして、テイクアウトやデリバリーがあります。餃子の持ち帰りといえば、ここで王将が思い浮かぶ方もいるかもしれません。「王将」と書かれたバイクを街中で見ることもあり、デリバリーにも力を入れているようだ、と想像できます。 

一方で、日高屋はテイクアウトというより、店内で食べるイメージをお持ちの方が多いのではないでしょうか。もしも店舗に依存しているのだとすれば……お察しの通り、販管費の圧縮は難しくなってきます。 

というわけで、黒字となった企業は①の王将フードサービスでした。 

出典:『会計クイズを解くだけで財務3表がわかる 世界一楽しい決算書の読み方[実践編]』

コロナ前のビジネスモデルを知る 

ハイデイ日高が赤字になった背景に触れる前に、そもそも、コロナ前はなぜこの2社が高収益体質だったのかを考えてみたいと思います。 

飲食業の平均的な利益率は2~3%と言われているにもかかわらず、コロナ前の決算では、安定して10%前後の営業利益率を生み出していました。その理由を探るべく、客単価や客数など、各売上を構成する要素などを分解して見ていきましょう。 

出典:『会計クイズを解くだけで財務3表がわかる 世界一楽しい決算書の読み方[実践編]』

まず、ハイデイ日高はなぜ利益率が高かったのでしょうか。基本的な経営指標の数値を比較してみましょう。 

売上高を単純比較した際には、「王将フードサービスのほうが売上高が大きい」とわかります。ただ、それでは分析にならないので、もっと細かく見てみると、客単価・客数・店舗数・店舗あたりの客数・店舗あたりの売上高など、基本的な売上を構成する指標すべてで、王将フードサービスはハイデイ日高を上回っていることがわかります。 

次ページハイデイ日高はどのように高収益を生み出していたのか 
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