停留所は8000「のらざあ」で実現する「町のDX」 AIオンデマンド交通をきっかけに変わる茅野市
AIオンデマンド交通「のらざあ」の正式運行が、長野県茅野(ちの)市で始まった。
この地域では、「〇〇しよう」という表現に対して「〇〇ざあ」という方言がある。「のらざあ」とは、「乗ってみよう」を意味する。
運行エリアは、これまで路線バスが走っていた市内中心部とその周辺部で、停留所は実物の停留所のほかに専用アプリ上の仮想停留所があり、合計約8000カ所を設けている。
「のらざあ」の利用者は、スマートフォンにダウンロードした専用アプリや電話によって、利用希望日の1週間前から利用の1時間前までに予約を行う。
予約の状況を、Via Mobility Japanが開発した専用システムが解析して、利用者それぞれの利便性と運行事業者の対応を上手くバランスさせる形での配車を行う仕組みだ。
運行時間は、年末年始の除き、土日祝日を含めて毎日、午前8時から午後7時。運行事業者は、アルピコタクシー、第一交通、諏訪交通、茅野バス観光の4社による共同体で、車両は定員7人のトヨタ「ノア」1台、定員10人のトヨタ「ハイエースワゴン」5台、そして定員14人の「ハイエースコミューター」2台の合計8台を使う。
料金は距離3キロ未満が300円、3キロ以上5キロ未満が500円、そして5キロ以上が700円となる。子どもはそれぞれ半額だ。支払い方法は、アプリを介したクレジットカード、または現金も受け付ける。
「のらざあ」導入で13路線を廃止
「のらざあ」導入によって、定時定路線(一部は定時オンデマンド型)の路線バスのうち、市街地循環バス、御狩野線、豊平・泉野線、西茅野・安国寺線など全体の約半数となる13路線を廃止した。
これら13路線に対する補助金は5193万円だったが、「のらざあ」導入に当たっての車両購入や、先に行った社会実証を受けての配車システムの改修費などでかかった費用は、総額5636万1000円。13路線の補助金と概ね同程度を維持した形だ。
八ヶ岳周辺の観光客の移動手段として運行されている白樺湖線、蓼科高原ラウンドバス、北八ヶ岳ロープウェイ線、メルヘン街道バスなどの路線と、隣接する原村への移動手段である穴山・原村線は、これまで通り運行する。また、JR茅野駅を中心に通学や通勤を主な目的とする路線バス5路線は、ニーズが高いためそのまま維持することになった。
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