一見すると「スペーシアギア」のようだが、フロントマスクは「スペーシアカスタム」。さらによく見えれば、クォーターウインドウはリブつきのパネルで埋められている。一体、この車は何なのだろう。
その答えは、「スペーシアベース」。スズキが2022年8月26日に発表・発売した「スペーシア」の派生モデルだ。
その最大の特徴はこの外観……ではなく、なんと4ナンバーの商用車仕様であること。スペーシア派生モデルの噂があったが、このタイミングで商用車だとは不意打ちだ。
リアシートも一応あるが、広さは最小限。形状もベンチそのもので、快適性を重視したものでは決してない。その代わり荷室は広く、コンパクトに格納できるリアシート、そして「マルチボード」との組み合わせにより、多彩な使い方ができるというものだ。
「道具感」を演出した内外装
外観は、前述のとおりスペーシアカスタムのフロントまわりに、スペーシアギアに装着されるルーフレールを装着。クォーターをガラスから樹脂パネルとし、専用デザインのホイール(ハーフキャップ付きアルミ、もしくはスチール)を履く。
フロントグリルやドアミラー、ドアハンドル、ルーフレールなどのエクステリアパーツは、すべてブラックパール仕上げとすることで道具感を演出している。ヘッドライトの中(ハウジング)までブラックとされたことも特徴だ。
ちなみに、フロントグリルはスペーシアギアからの流用だが、2021年12月に実施された“一部改良の前”のタイプである。旧型品をうまく流用することで差別化を図る、ユニークな手法だといえる。ボディカラーは全5色で、新色「モスグレーメタリック」がイメージカラーだ。
インテリアを見てみよう。インストルメントパネルの形状や機能は既存のスペーシアシリーズと共通だが、パネルカラーをグレーイッシュブルーとすることで、外観と同様に道具感を演出している。この差し色は、ドアポケットやクォーターポケットにも使われ、インテリアを印象づける。
昔のバン仕様の軽自動車を思われる小ぶりなリアシートは、倒したうえで標準装備の樹脂製フルフラットカバーを装着すれば、隙間のないフラットな荷室とすることが可能だ。
また、荷室には3段階の高さでマルチボードを設置することができ、荷物の積載に応じて使い分けができるほか、上段にすればデスクとしての活用も可能。下段にすると、フロントシートを倒したときにフルフラットになり、車中泊にも対応する。そのほか、マルチボードは縦に設置することで、荷室と居室のパーティションとすることもできる。
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