スズキ「スペーシアベース」突如現れた新車の正体 個人向けの商用車というニッチ商品は売れるか

✎ 1〜 ✎ 102 ✎ 103 ✎ 104 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

後席用シートベルトを脱着式としていたり、荷室の側面に10個のユーティリティーナットを装備していたりするのは、荷室の使い勝手を高めるための工夫だ。このユーティリティーナットにはM6サイズのボルトが対応しており、フックやネットなどを設置することができる。

なお、シートは撥水加工ファブリック、荷室フロアやマルチボードは樹脂製の某汚タイプだから、濡れたものを気にせず載せられる。アウトドアユースを意識した素材だ。

マルチボードを上段に設置した活用例(写真:スズキ)

スペーシアシリーズのパワートレインは、ターボ/NA(自然吸気)を問わずマイルドハイブリッドシステムを採用するが、このスペーシアベースはマイルドハイブリッド機構のないNAエンジンのみ。コストと耐久性を重視した、商用車らしいパワートレインだといえるだろう。

とはいえ、WLTCモード21.2km/L(2WDモデル)と、カタログ燃費はマイルドハイブリッドのスペーシアと1km/Lしか変わらない。なお、トランスミッションは全車CVTで、4WDも選択可能だ。

パワートレインこそ商用車らしい仕様となるが、スペーシアシリーズがベースだけあって、安全装備にぬかりはない。

デュアルカメラブレーキサポートはもちろん、誤発進抑制機能、後退時ブレーキサポート、ハイビームアシストといった安全装備は全車に標準装備。さらに、LEDヘッドランプ、LEDフォグランプ、フルオートエアコン、キーレスプッシュスタートシステムといった快適装備も、全車につく。

N-VANか? スペーシアベースか?

バリエーションはベースグレードの「GF」と、上級グレード「XF」の2タイプで、装備の差は、全車速追従機能付きアダプティブクルーズコントロール、スライドドアクローザー、フロントドアUV&IRカットガラス、IRカット機能付きフロントガラス、運転席シートリフター、チルトステアリング、USBソケット、ルーフレール、アルミホイールといったところ。価格は「GF 2WD」の139万4800円から、「XF 4WD」の166万7600円まで。

スペーシアベースGF
ルーフレールやアルミホイールがつかない「GF 」グレード(写真:スズキ)

ここまで読み進んでくださった方ならご察しのとおり、スペーシアベースのライバルはホンダ「N-VAN」である。

N-VANは、助手席まで完全フラットになる樹脂製のラゲッジフロアと、ピラーレスによる大開口のドアがウリだ。また、スペーシアベースにはないターボエンジンや6速MTもあり、ただの商用車ではないユニークな魅力を備えている。

N-VANと比べるとスペーシアベースは少々地味だといえるが、スペーシアカスタムをさらにカスタマイズしたようにも見え、これはこれで魅力的だ。初代「ワゴンR」のような、シンプルな機能美であるとも受け取れる。商品としてはかなりニッチだが、「これがいい」という人も少なくないだろう。「これがいい」と感じたら、“いい相棒”になるに違いない。

この記事の画像を見る(33枚)
木谷 宗義 自動車編集者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

きたに むねよし / Muneyoshi Kitani

1981年、神奈川県生まれ。大学卒業後、専門学校で編集を学び、2006年よりフリーランスの編集者/ライターとしてキャリアをスタート。取材・執筆、編集、ディレクション業務のほか、当初よりメディア運営に携わる。現在は自動車編集者として、初心者向けからマニア向けまで幅広く自動車コンテンツの制作やプロデュースを行う。type-e.inc代表取締役。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事