後席用シートベルトを脱着式としていたり、荷室の側面に10個のユーティリティーナットを装備していたりするのは、荷室の使い勝手を高めるための工夫だ。このユーティリティーナットにはM6サイズのボルトが対応しており、フックやネットなどを設置することができる。
なお、シートは撥水加工ファブリック、荷室フロアやマルチボードは樹脂製の某汚タイプだから、濡れたものを気にせず載せられる。アウトドアユースを意識した素材だ。
スペーシアシリーズのパワートレインは、ターボ/NA(自然吸気)を問わずマイルドハイブリッドシステムを採用するが、このスペーシアベースはマイルドハイブリッド機構のないNAエンジンのみ。コストと耐久性を重視した、商用車らしいパワートレインだといえるだろう。
とはいえ、WLTCモード21.2km/L(2WDモデル)と、カタログ燃費はマイルドハイブリッドのスペーシアと1km/Lしか変わらない。なお、トランスミッションは全車CVTで、4WDも選択可能だ。
パワートレインこそ商用車らしい仕様となるが、スペーシアシリーズがベースだけあって、安全装備にぬかりはない。
デュアルカメラブレーキサポートはもちろん、誤発進抑制機能、後退時ブレーキサポート、ハイビームアシストといった安全装備は全車に標準装備。さらに、LEDヘッドランプ、LEDフォグランプ、フルオートエアコン、キーレスプッシュスタートシステムといった快適装備も、全車につく。
N-VANか? スペーシアベースか?
バリエーションはベースグレードの「GF」と、上級グレード「XF」の2タイプで、装備の差は、全車速追従機能付きアダプティブクルーズコントロール、スライドドアクローザー、フロントドアUV&IRカットガラス、IRカット機能付きフロントガラス、運転席シートリフター、チルトステアリング、USBソケット、ルーフレール、アルミホイールといったところ。価格は「GF 2WD」の139万4800円から、「XF 4WD」の166万7600円まで。
ここまで読み進んでくださった方ならご察しのとおり、スペーシアベースのライバルはホンダ「N-VAN」である。
N-VANは、助手席まで完全フラットになる樹脂製のラゲッジフロアと、ピラーレスによる大開口のドアがウリだ。また、スペーシアベースにはないターボエンジンや6速MTもあり、ただの商用車ではないユニークな魅力を備えている。
N-VANと比べるとスペーシアベースは少々地味だといえるが、スペーシアカスタムをさらにカスタマイズしたようにも見え、これはこれで魅力的だ。初代「ワゴンR」のような、シンプルな機能美であるとも受け取れる。商品としてはかなりニッチだが、「これがいい」という人も少なくないだろう。「これがいい」と感じたら、“いい相棒”になるに違いない。
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