「ひのさと48」ほか九州でリビングラボが進む訳 トヨタ自動車九州はコワーキングで地域と共創
あの宗像(むなかた)に、おもしろい団地がある。そう聞いて、福岡空港からカーシェアで福岡県宗像市に向かった。
宗像市といえば、日本神話に登場する日本最古の神社の1つ、宗像大社を含む“神宿る島”沖ノ島と、関連遺産群が世界遺産に登録されていることで知られる地域だ。
また、玄海灘の海の幸が魅力的で、年間動員数180万人を誇る道の駅「むなかた」は、九州内のみならず全国からも注目されている観光スポットである。
一方で、宗像市の人口は2022年6月6日時点で9万7155人と、近年は少子高齢化の影響で減少傾向だ。このままの状態が続けは、2065年には8万人を下回ると市では予測している。
時計の針を少し戻すと、1950年代から1960年代半ばごろまで宗像市の人口は4万人弱だったが、高度成長期に入り、日の里団地や自由が丘団地など大規模団地が相次いで開発されたことにより、人口が急増した。最盛期の日の里団地では、2万人が暮らしていたという記録がある。
高度成長期から50年以上が過ぎた今、“次の50年を暮らす場”として団地再生に向けた動きが出てきている、それが「ひのさと48(よんじゅうはち)」である。
「再生団地+新規戸建て」の共存空間
遠くから見ても、その存在感は大きい。外観の一部をカラフルにデコレーションし、側面にはボルダリング設備を施しているからだ。
団地内に入ると1階には託児所、カフェ、ビール工房などがあり、ほかの階の部屋にはウクレレ工房、写真スタジオ、ドーナツ屋などさまざまな職種の人たちが店を構えている。
ここは単なるリノベーションした住居施設ではなく、地域に根差したスモールビジネスの拠点であり、地元の人々同士だけでなく、ほかの地域から訪れる人たちと地元の人が出会う場であることがわかる。
ひのさと48は、本来解体される予定だった48号棟とその周辺の土地を、地元エネルギー企業の西部ガスと利用者目線でグリーンインフラ開発サービスを行う、東邦レオが中心となり、住宅メーカー各社と連携して誕生した。48号棟と隣接する土地とで、再生する団地と新規開拓する戸建て住宅との共存空間を創り上げているエリアである。
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