「ひのさと48」ほか九州でリビングラボが進む訳 トヨタ自動車九州はコワーキングで地域と共創

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また、さらに一歩進んだ考え方として、個人所有の乗用車による共助である個人間カーシェアもあるが、地域交通という視点ではまだ多くの課題が残されている。

ひのさと48のようなリビングラボを通じて、移動に対する共創や共助についての議論が自然な形で深まっていくことを期待したいと、宗像の地で感じた。

九州と世界をつなぐ「九州創生」へ

宗像から一般道を通って九州自動車道に戻り、関門橋をわたって下関へ。折り返して、小倉に立ち寄ってから博多に戻った。

この日の夕方から夜にかけて、天神にあるトヨタ自動車九州のコワーキングスペース「Garraway F(ギャラウェイ エフ)」開設3周年を祝い、さまざまな分野の方を招いた意見交換イベントが開催された。

筆者は移動日程の都合で参加できなかったが、その翌日にGarraway Fとオンラインでつないで、関係者と意見交換した。Garraway Fは、「九州と世界をつなぐ、九州創生」という意味が込められた名称だ。

「Garraway F」の館内(写真:トヨタ自動車九州)

対応していだいたのは、トヨタ自動車九州 次世代事業室 主幹で、Garraway Fビジネスプロデューサーの植野直亮氏だ。まず聞いたのは、Garraway Fの狙いである。

植野氏によると、2018年6月にトヨタ自動車九州の永田理社長が就任したタイミングで、次世代事業室が5人で立ち上がった。

同年1月にアメリカ・ラスベガスで開催されたIT関連大規模イベント「CES2018」では、トヨタの豊田章男社長が「e-Palette」などCASE(コネクテッド・自動運転・シェアリングなど新サービス・電動化)に対するトヨタの次世代構想を公開し、モビリティカンパニーへの転換を強調した。

そうした中、トヨタグループの一員であるトヨタ自動車九州としても、自らの手で積極的に未来に向かう活動を進めることになったという。そのうえで、まずは「仲間に入れてもらおう」という発想が出た。

トヨタ自動車九州は、レクサスなどを製造する宮田工場が主体の企業であり、その所在地は都心部から少し離れている。そこで「地元の皆さんの仲間に入れてもらうために、自らコミュニティーを創ろう」と、博多の繁華街である天神の商業施設内に「Garraway F」を構えたのだ。

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