「ひのさと48」ほか九州でリビングラボが進む訳 トヨタ自動車九州はコワーキングで地域と共創
キーポイントは、デベロッパー主体の“まちづくり”ではなく、地域の人が自らの手で、自分たちの“さとづくり”を目指す点だ。これを行政や民間企業がサポートしていく形をとっている。
ここには「共創」または「共助」という考え方が基本にある。
ビール工房で話を聞いた、西部ガス・営業本部 都市リビング開発 暮らし・まちづくり推進グループの牛島玄氏は「地元の方に、贈答用などで買い求めていただいている。住民主体の、ここでの“さとづくり”はまだ始まったばかりだ」と、中長期目線で地域の課題にしっかりと向き合う姿勢を示した。
ヨーロッパ発の「リビングラボ」
共創による地域づくりでは、北欧で2000年代から始まったとされる「リビングラボ」という活動がある。
リビングラボとは、生活空間(Living)+研究機関(Lab)からなる新語で、研究機関を生活空間の近くに置き、生活者目線での新しい技術やサービスを生み出すことをいう。
2006年には、ヨーロピアン・ネットワーク・オブ・リビングラボ(ENoLL)が設立され、今ではヨーロッパを中心に150以上の活動がある。日本でも2015年ごろから岡山、鎌倉、徳島などでプロジェクトなどが動き出している、注目も活動だ。
九州では、福岡県、福岡市、宗像市、久留米市など10の自治体と民間企業などが連携し、福岡地域戦略推進協議会という事業創出プラットフォームを創出。壱岐市の地方創生、朝倉市での災害復興支援などでリビングラボを試みている。
ひのさと48についても、福岡地域戦略推進協議会からアドバイスを受けるなどして、宗像市での共創活動が進んでいるといえる。
こうしたリビングラボの考え方は、地域交通の将来について考える場にもなりうるものだ。だが、宗像市を含む全国の多くの地域では、バス/鉄道/タクシーなどの公共交通機関か自家用車に二分されているという状況は、大きく変わっていない。
共創や共助の観点から、需要に応じて配車されるオンデマンドバスや、地域住民が中心となって運用する自家用有償旅客運送などもあるが、全国的に成功事例が多いとは決して言えない。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら