「ひのさと48」ほか九州でリビングラボが進む訳 トヨタ自動車九州はコワーキングで地域と共創
これに対して植野氏は、「そもそもトヨタ自動車九州は『マークⅡ』の生産工場として、1992年12月に稼働が始まった。当時から、三河ではできないことをやる実験工場のような立ち位置であり、それが今でもわれわれのアイデンティティーだ」という会社設立の背景に触れた。
そのうえで「九州は一般社会の中で、関係のある人たちとの顔が見えやすく、すぐに会えるほどよい距離感があり、(課題解決に向けた)キーマンが誰なのかが見えやすい」と、九州の独特の土地柄や政治や経済界の雰囲気を挙げた。
九州発「日本を変える」例はいくつも
たしかに、筆者のこれまでの九州に関する体験の中でも、そうした“ほどよい距離感”は理解できる。例えば、自動車周辺産業では、福岡県と九州大学が中心となり産学官連携を行う福岡水素エネルギー戦略会議がある。
九州大学・伊都(いと)キャンパスには、燃料電池と水素に関して世界トップクラスの研究施設が整備され、この分野で世界をリードしてきた。その成果が、水素ステーションに関する規制緩和などに直接的な影響を与えている。
産業競争力という観点では、福岡県が2000年代に、『北部九州自動車生産150万台構想』を掲げたことで、日産自動車九州(福岡県苅田町)、トヨタ自動車九州(福岡県宮若市)、ダイハツ九州(大分県中津市)の周辺地域で産業が広がった。
その延長線上として、直近では『北部九州自動車産業グリーン先端拠点プロジェクト』によりCASE(コネクテッド・自動運転・シェアリングなどの新サービス・電動化)への対応も進められている。
また、九州北部からやや南側になるが、熊本県には大型2輪車やポータブルバッテリー等を製造するホンダ熊本製作所があり、熊本県は産業振興の観点から、これまで超小型モビリティ「MC-β」等の実証実験をホンダとともに積極的に行ってきた実績もある。
挑戦する九州から、日本を変えるための具体例が続々と出現している。今後も九州各地でさまざまな取材を続けていきたい。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら