「ひのさと48」ほか九州でリビングラボが進む訳 トヨタ自動車九州はコワーキングで地域と共創

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さらに次世代事業室では「ものづくりDX」「エネマネ改革」「モビリティ改革」、そして「働く人中心デザイン」という4分野で、さまざまなチャレンジを行っている。

例えばものづくりDXでは、デジタル工場見学を拡充しており、コロナ禍となり需要が高まっているところだ。エネマネ改革では、災害対応として既販売台数が多いハイブリッド車から電源をとる仕組みを考案した。

「プリウス」から給電するデモンストレーションの様子(写真:トヨタ自動車九州)

最新のハイブリッドモデルでは100V・1500W電源、BEV(電気自動車)やFCEV(燃料電池車)からは給電システムが用意されており、これを利用するのだ。まずは、「利用者目線で保有数が多いトヨタ車に着目した」という。

「社内から社会へ」まずはユーザーとして

モビリティについては、「トヨタとしてモビリティカンパニーを目指しているのだから、まずは自分たちが恩恵を受ける“会社の中での移動”の解決を考えよう」という発想を基点に、宮田工場という私有地内ならば導入のハードルが比較的低い、電動スクーターに注目した。

新しい種類の乗り物であるため、“安全性の壁”に対する賛否両論はあったが、従業員目線での協議を進めた結果、現在では110台が稼働している。

トヨタ自動車九州による電動スクーターのライドシェアサービス(写真:トヨタ自動車九州)

また、ライドシェアリングについても、“社員のビジネストリップ”という観点で通勤や出張を前提に考え、ライドシェア実証を進めた。自分事としてまず発想し、そこから“地域のためになる”という考え方になったといえる。

「なぜ社員はマイカー通勤なのか」→「公共交通機関がないからだ」→「それは地元住民にとっても同じ課題のはず」→「そのためにはどのようなソリューションが可能か」という考え方の順序立てだ。

そうした中、新型コロナ感染症に対するワクチン接種では、65歳以上の方の移動が課題となったが、宮田工場がある地元の宮若市と協力して、トヨタ自動車九州のライドシェア車両を社員が使う朝夕以外の稼働率が低い日中に、市が活用する仕組みができた。

ここまでの話を踏まえ、最後にもう1つ植野氏に質問をしてみた。「なぜ、九州はチャレンジ精神が旺盛な土地柄なのか」と。

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