山崎「ランチパック」で和梨が復活した意外な経緯 秋葉原本社なのに「市川のなし」のナゾに迫る
使うのはもちろん地元の「市川のなし」だが、和梨を使う商品開発の難しさを半澤さんはこう語る。
「和梨は洋ナシと違って印象が薄く、味の出し方がとても難しいのです。手当たり次第に和梨ジャムに合う素材を試していたところ、レアチーズが和梨の味を引き立てることに気づきました。そこで以前使ったホイップクリームをレアチーズ風味のクリームチーズに変更することで、和梨の風味を高めることができました」
確かに、和梨と洋ナシとでは大きく風味が異なる。芳醇な香りが特徴の洋ナシに対して、和梨の香りは控えめで印象に残らない。和梨ならではの個性は、何といってもあの瑞々しい歯ごたえと食感だ。
だがこれは青果であればこそ。加熱したら失われてしまう。正直これまでの和梨のランチパックには、筆者もどこか物足りなさを感じていた。一昨年の「和梨ジャム」には特別感は薄かったし、それ以前のホイップクリームを用いたものはホイップクリームが前面に出過ぎていたような。
それが明らかに変わった。半澤さんの説明通り、レアチーズの酸味と和梨ジャムの甘みが双方を引き立てあっていた。
新たな工夫が施された今年の「ランチパック和梨」は9月1日から発売される。関東1都6県に加えて、山梨、福島、長野で店頭に並ぶ。
「和梨はみずみずしさとシャキシャキした食感が特徴です。この2つをランチパックで表現するのはとても難しく、引き続きの課題です」
いくつかの壁を乗り越えた半澤さんは、さらに次の進化系も視野にいれているようだ。
楽しそうに経緯を話してくれた細谷さんは、最後に真面目な顔でこう続けるのだった。
「大変ありがたいことに、いまも市川の方々には、『市川の名産はナシとヤマザキパン』とおっしゃっていただけています。
地域の特産品を用いた商品開発は、供給量と価格の問題でハードルはかなり高いんですけれども、諦めずに取り組んでいきます。いつかは同じ千葉県の、船橋や柏の地域商材を使った商品も出したいですね」
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