山崎「ランチパック」で和梨が復活した意外な経緯 秋葉原本社なのに「市川のなし」のナゾに迫る

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中には通年商品となった「和梨バウム」や「梨ウォーター」などのヒット商品も生まれた。

通年商品となった「梨ウォーター」(写真提供:山崎製パン)

今シーズン最大のトピックは、昨年は販売を止めていた和梨を用いたランチパックの再発売に踏み切ったことだ。それもサンドする中身を大きく変更する一大リニューアル。名称も「和梨ジャム」から「和梨ジャム&レアチーズ風味クリーム」に変わる。

2021年にランチパックを出さなかった理由は、言ってしまえば味の進化に行き詰まったため。地域ブランド「市川のなし」の使用については、ランチパックではなく新たな洋菓子の商品化に舵を切ったからだ。

「ランチパック和梨」復活のきっかけは消防署

今年のランチパック和梨の復活は、意外なきっかけからはじまっていた。その経緯を、松戸工場業態開発課統括マネージャーの細谷清さんはこう語る。

「1年以上前に、市川市消防局さんから松戸工場とコラボしたいという申し出があったんです。ありがたいお話ではあったのですが、菓子パンやお菓子でどうやって消防署とコラボすればよいのか思いつかず、正直頭を抱えました」

それはそうだろう。消防署と食品のコラボとは難易度が高すぎる。しかし、細谷さんはそこでボツにせず粘りを発揮した。市川を前面に出すならやはりナシで、かつブランドの力のある商品がよいと、ランチパック復活を企画したのだという。

そこで細谷さんが出したアイデアはちょっと奇抜、ダジャレだった。

「『市川のなし』と『火事なし』を掛けることで、いけるかなと。消防署の方にも関わっていただいて作りあげたパッケージを局長さんにお見せしたら、『これは売れる! 市長にすぐに報告させてほしい!』という展開になりまして……」

地元消防局とのコラボ目的とダジャレで復活が決まった和梨のランチパック。そうは言っても、味づくりで壁にぶつかり販売を中止した商品である。開発担当者にとっては無茶ぶりに近い。

ダジャレで「ナシのランチパック」を考案した松戸工場業態開発課統括マネージャーの細谷清さんと、開発を手がけた松戸工場業務係の半澤春奈さん(写真:筆者撮影)

担当したのは、「市川のなし」関連商品を一手に手掛ける松戸工場で業務係を務める半澤春奈さん。半澤さんはこの4月に営業から異動したばかりで、最初に手がけた商品がこの復活リニューアルとなった。

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