公務員をしているみわ(32歳、仮名)が入会面談にやってきた。婚活を始めるにあたって、「私、割り勘デートには抵抗ないんですよね」と言っていた。
公務員社会は賃金体系に性差がなく、古くから男女平等が根付いている。コロナ前は季節の節目などに職場の飲み会があったが、会費は男女が同額だった。これが一般企業なら、男性が多く負担し、女性は少し割引された金額設定になることが多い。
男女平等が習慣づいているからか、みわは、男性と付き合うときは割り勘でいいと思っていた。
なぜ結婚相談所で婚活を始めようと思ったのかというと、つい最近、アプリで出会って結婚直前まで話が進んていたたかし(34歳、仮名)と、婚約破棄をしたからだ。
「アプリに載っていた年収は400万円台でした。年収証明を入れてないだろうし、今となってはそれが本当かどうかわからないけれど、私のほうが稼いでいました。でも、コミ力があって、話をしていてすごく楽しい人だったから、友達みたいな夫婦になれるかなって思ったんですね」
当然のごとくデートは割り勘だった。
「お金ってある意味パワーだと思うんです。デートで女性にお金を出させない男性は、どこか女性を自分の支配下に置きたがる傾向にある。私は、結婚してからも仕事を続けたかったし、“女よりも男の仕事が上で優先されて当然”という考え方は嫌だったんです」
たかしは、いばるようなところがまったくなかった。お互いの家を行き来するようなると、買った食材をむだなく使い回して料理を作り、掃除や洗濯もマメにしていることがわかった。
みわは「こんな男性と結婚できたら、楽だろうな」と思っていたという。
みわのお金をあてにするように…
しかし、結婚の話が進むようになると、みわのお金をあてにしているようなところが目立ってきた。みわは、私に言った。
「どこに住もうかという話になって、ネットで地域と間取りを絞りこんで検索をしたんですね。彼が今住んでいるのは、1Kのアパート。『2人で住むなら2LDKがいいよね』って言いながら、彼の今の家賃の2倍以上のところを探しているんですよ。それって、私のお金を完璧にあてにしているじゃないですか」
さらに、結婚式をどうしようかという話になったときに、彼には貯金が70万円もないことがわかった。
「『どうしてこんなに貯金が少ないの?』と聞いたら、『もらっている給料を生活費に当てたらカツカツで、貯金にまでお金が回らなかった』と言うんですね」
それなのに、「結婚式、新婚旅行、指輪はどうするか」という話もしてきた。
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