肉体的暴力は外傷が残るのでひと目でわかるし、警察に訴えれば刑事事件にもなる。しかし、高圧的な言葉や態度による暴力(モラハラ)は、傷つくのが心なので、被害者が訴えたところで、相手がそれを認めない限り罪を立証することは難しい。
また、結婚生活において配偶者のモラハラがひどかったとしても、四六時中それが続くわけではない。
一緒に笑ったり、やさしくされたりと、楽しい夫婦としての時間もあるので、“そちらが本来の配偶者の姿”だと、モラハラを受けている側が自分に言い聞かせてしまう。
目に見えないモラハラは厄介
外傷が残らないだけに、「あんなひどいことを言われたけれど、今回は水に流そう」と、その都度気持ちを切り替えて相手を許すので、つらい結婚生活が続いていくことになる。それが積もり積もって、心を病んでしまう人もいる。
先日、「再婚したい」と面談に来たありさ(37歳、仮名)の元夫よしお(37歳、仮名)も、モラハラがひどかったという。結婚生活は5年で終止符を打った。
「元夫とは、32歳のときに友達の紹介で知り合いました。大企業の社員で、学歴も高くて、“私で釣り合うのかな”と、最初は思っていました。でも、猛烈にアタックされて、お付き合いするようになったんです」
背も180センチ以上あり、見た目もハンサム。年齢的にも結婚したいと考えていたありさには、理想の結婚相手だった。
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