すかいらーくがコメダに実は翻弄されている理由 「100店閉鎖」に至らしめたインフレ以外の要因

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その結果として、ロードサイド沿いのショッピングモールやチェーンストアは活況を呈し、鉄道を中心とした駅前商業施設を中心として成立する「鉄道資本主義」から自動車を中心としたロードサイド型の商業施設を中心とする「シン・街道資本主義」への変化が日本の消費生活に見られるようになったという。

コメダは「駐車場」の設計から先進的だった

その流れを進行させたのが――もはや言うまでもないことだが――コロナ禍である。感染拡大を防ぐためにリモートワークが推奨されるようになり、人々は自分が住む郊外住宅地に留まるようになった。その結果、郊外における消費需要が高まったというのである。

実際、柳瀬氏によれば、コロナ禍をきっかけとして首都圏を大きく囲む―大郊外地帯となっている国道16号線沿線に積極的に住みたいという人々(特に若いファミリーなど)が増加しているという(柳瀬博一『国道16号線ー「日本」を創った道』)。

つまり、現代は、日本の歴史上稀に見る「自動車の時代」であり、かつて鉄道とその沿線の駅前の商業施設が担っていた機能を、自動車とロードサイドが担っているのである。

そう考えると、むしろ、コロナ禍の影響で郊外型立地の店舗こそ、その需要を伸ばし得るという見方もできるのである。「すかいらーく、ロードサイドを中心とした100店舗閉鎖」という見出しだけを見ると、私たちはつい、ロードサイド立地の店の全般が苦境に立たされると思ってしまうが、実は郊外型立地の店はこの上ない利益増収を掴めるチャンスだとも言える。

もっといえば、柳瀬氏が唱えるような「シン・街道資本主義」時代の郊外型店舗として最適化しているのがコメダだと見ることができる。

その象徴的な例として挙げられるのが、コメダの店舗が「駐車場から設計されている」ことだろう。コメダ開発部門統括の専務・高橋敏夫氏は過去のインタビューで、駐車場が狭いと顧客にとって良い印象が残らないと述べ、必ず駐車場のスペースを十分に確保してから店舗を設計すると答えている。また、コメダの駐車場は1台ごとの駐車スペースが広く、車止めを3つ設置する場所もあって、縦列駐車が苦手な運転手も安心して駐車ができるという。

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