知ると腑に落ちる「天才科学者は少食が多い」ワケ アインシュタインやニュートンらの食事情

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ニュートンの生き方はまるで求道者のようだが、ノーベル化学賞と物理学賞を受賞したポーランド出身の化学者マリー・キュリーも負けていない。

家庭教師のアルバイトで学費を稼ぎ、家庭の貧しさから一時期は断念していた大学進学を果たすと、寸暇を惜しんで勉学に励んだ。ソルボンヌ大学理学部の学生は2000人近くいたが、女性はマリーを含めて20人程度だった。当時の社会がいかに女性を学問から遠ざけていたかがわかるだろう。

通学時間すらも惜しんだマリーは、同居していた姉がきちんと食事させようとすることにも苛立ちを感じていた。

マリーが食べた日常のメニューは、お茶、ココア、パン、果物。貧しさから卵や肉はほとんど食べられず、栄養失調で倒れたこともあった。それでも、マリーは学生生活をこう振り返る。

「生涯最高の思い出の1つだ」

大学にいりびたって、学問に没頭できる環境がただただ嬉しかったのである。家事よりも勉強に励んでいたため料理の経験は乏しかったが、物理学者のピエール・キュリーと結婚後は、そう言ってもいられなくなった。

何しろ、女性が家事をやるのが当然とされた時代である。必要に迫られたマリーは科学を習得した要領で料理も覚えていく。スープの作り方も知らなかったが、スグリのジャムなどを作りながら、料理のレシピを書き留めるまでになった。

夫ピエールも研究に没頭すると食に構わないタイプ

だが、ピエールも研究に没頭したら食に構わなくなるタイプだった。マリーがせっかく作った夕食も何だったか思い出せないこともしばしば。それどころか自分が食事をしたかどうかもわからなくなる始末だった。

やがて「研究だけをしていたい!」夫妻の相乗効果(?)によって、2人とも歯止めが利かなくなってしまう。

「あなた方はろくに食事をしていません。マリーがソーセージを二切れ食べただけで食後のお茶にしてしまったのを一度ならず見ましたよ」

こんなふうに、共通の友人から警告されてしまうくらいだ。さらにこんな忠告まで受けている。

「いくら健康に無関心であろうと、それは言い訳になりません。今のあなたの行動はまるで子どものようです。科学への没頭を生活に持ち込むことはやめるべきです。食事のときにまで、物理の本を読んだり物理の話をしたりしてはいけません」

しかし、聞く耳を持つ相手であれば、最初からそんな生活になっていないだろう。友人の警告に何の効果もなかったことは言うまでもない。

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