この急増ぶりを見ると、1998年頃にきっかけがあったと結論せざるをえない。データの意欲とつながりの考えに詳しくなくとも、データの動きから読みとれる推論だ。幸いにも、コイルがやってのけたように、火花——人間を新たな予測もしなかった方向へ向かわせる心的エネルギーの突然の爆発——を特定するのは簡単だ。
1998年5月18日に、20歳の韓国人ゴルファー朴(パク)セリはマクドナルドLPGA選手権で優勝して全米を沸かせた。ボストン・グローブ紙はこう報じている。「朴セリは昨日、賞金総額130万ドルのLPGA選手権を勝利で飾ってすべての華々しい約束を果たした。祖国から来たサポーターと韓国のテレビクルーと新聞雑誌記者の大群がひしめく大勢のギャラリーを引き連れて最終ラウンドを68でまわり、11アンダーの273という記録で、祖国には何年ぶりかでスポーツにおける絶頂の瞬間をもたらし、19万5000ドルを獲得した」。
どの現代文化でもありうるつながり
ロシアのスポーツにおける絶頂の瞬間はその数週間後に訪れた。17歳の金髪のテニス選手、アンナ・クルニコワがウィンブルドンの準決勝に出場したのだ。試合のテレビ中継は、祖国ロシアではその年もっとも高い視聴率を獲得し、外見も手伝って、彼女の名前は世界中でインターネット検索の上位を飾った。
では、関連づけの性質について考えてみよう。韓国の女の子たちは朴の成功をこぞって見守る。(世界中の人びとのほとんどがそうであったように)勝利に驚き、国中がよろこびに沸く。この例でのつながりに挙げられるのは愛国心、共通した(誕生日ではなく)国籍、どの現代文化でもありうるつながりだ。
「朴セリにはとてもインスパイアされました」と、2008年全米オープンで優勝した朴仁妃(パク・インビ)は語っている。「当時、ゴルフをやって彼女のようになりたいと考えた女の子は私だけでなくて、たくさんいました。朴セリが優勝したのはとても朝早くで、私はまだ寝ぼけまなこでした。再放送はそれから何度となくありました。かなり観ましたよ。彼女が韓国国民のためにしてくれたことがうれしかった。(中略)それが本当に刺激を与えてくれました」。
LPGAの広報担当、コニー・ウィルソンも同意見だ。「朴は1998年に韓国で女子ゴルフへの関心に火をつけ、韓国の女の子たちにもこういった成功が可能であると思わせた人物です」。韓国メディアでは、現代の韓国育ちの女性選手たちを「セリの子どもたち」と称している。
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