私はある程度キャリアを重ねてから、「ご機嫌なおばさま」の領域に突入してしまったので、あなたとまったく同じ意味での「オカン」経験はありません。それなりに怖がられていて、甘えてももらえなかった(笑)。でも、若かりし頃に、私に「甘えているように感じる上司」を懲らしめたことはあります。今となっては品のないことをしたかな、と後悔もありますが、そのときから上司との関係は少し変わったかもしれません。
若かった私が起こした「小さな反乱」
当時、私はビッグクライアントを担当していて、そのご担当者は非常に細かくて賢い方だったのです。ざっくりした説明なんて許されないし、自社の理屈や「営業トーク」なんて通用せず、ごまかしはすぐに見破られてしまう。納期についても「明日中」なんて言おうものならこっぴどくしかられてしまうので、「明日の15時」と約束し、それが守られなければ取引を失う、といった緊張感の高いお客様でした。
お客様の細かいご要望に応えるために、企画はどんどんオーダーメイドになり、私にしかわからないブラックボックスになり始めていて、私はその状況に恐怖を感じ始めていました。そこで、私は上司と何度も状況を共有しようとしました。判断に困るとき、あるいはもっと大きな判断をしなければいけないとき、またはミスをしてしまったとき、そういうときのためにも、上司には正しく現状を知っておいてほしかったのです。
ところが、私の上司は、「よくわからないなー」などと困った顔をして、逃げてしまう。ある日、私がこの件を相談しようとすると、上司は「整理してマニュアル化しておけばいいんじゃないの? それが出来上がったら読んでおくよ」と言って「お先に」と帰ってしまったのです。納品のピークで毎晩深夜まで働く私を、またひとり残して! ひとりで残った深夜のオフィスで私は心に「青い怒り」が燃え上がるのを感じました。「赤い怒り」よりずっと温度の高い、でも静かな怒り(笑)。
そこで、私は上司を懲らしめることにしました。実に幼稚だけれど、「突然、休む」ことで困らせてやろうと思ったのです。ある深夜、またひとりでオフィスにいた私は、ホワイトボードに「欠勤、連絡つきません」と書いて帰社し、次の日出社しませんでした。
実際は、お客様には休むことを伝えてあり、その日にやらねばならないことは済ませて帰っていたのですが、オフィスは大騒ぎになったそうです。もしそのビッグクライアントから連絡が来たら、何をどう手配するのか、誰にもわからなかったのですから当然です。もちろん、当時のお弁当箱みたいな大きさの携帯電話に何度も電話があったけれど、私はそれには出ずにぐうぐう寝てやりました。
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