DeNA創業者が語る、球団オーナーの役回り ベイスターズの南場智子オーナーを直撃

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なんば・ともこ●マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て、1999年3月にDeNA設立。2004年に社長を退き、取締役ファウンダーに(撮影:尾形文繁)

――実際の買収効果は?

すごくある。DeNAが日本全国民に知られるようになった。私たちはBtoBのビジネスではなく、消費者向け事業を中心とした会社。社名が知られることで、事業を知ってもらえることになる。

新入社員のご両親が「その新興企業は何だ?」とならず、応援する機運が出てくることは、人材命のDeNAにとって本業に資するところもある。何より社会との接点が増え、社員の自覚レベルが2段階くらい上がった。

DeNAは倫理的な問題で外からいろいろなことを言われるが、もともとまじめな会社。私はコンサルティングで多くの企業を見てきたが、本当に心から胸を張れる会社だと思う。だが若い社員のグループで、社会から誤解を受けても正しいことをやり抜こうという思いが強かった。それが社会との接点が増えることで、自覚のレベルが上がったと思う。

いい意味で会社を成熟させてくれた

スポーツの中でもっとも人気のある野球に参入し、12個しかない球団の1つを持った。そして、他の球団と一緒にプロ野球という劇場を盛り上げ、横浜や神奈川 の人々と接点を持つ。

インターネットの世界から飛び出せば、真夏でも汗をかきながらチームを応援してくださっているファンがいる。生身のユーザーを見て実感することがあると、一段と別の自覚が生まれてくる。いい意味で会社をちょっと大人にして、成熟させてくれた。私も去年は10回以上、球場に足を運んでいる。

――日本のプロ野球界(独立リーグなど除く)では初の女性オーナーです。これまでの経験をどう生かしたいですか。

何か言わないとだめですよね。初めての女性オーナーと呼ばれても、努力して女性になったわけじゃないから(笑)。私は野球のプロでも何でもなく、事業や経営のプロでなければならない。だから球団経営として組織をどうするか、そこで私の経験を生かしていくしかない。

特にDeNAが展開するネットサービスは、どうやってファンを増やし維持するかが重要になる。その経験をネット上ではない部分でも、できることをゆっくりやっていきたい。もう1つは(横浜DeNAベイスターズの)池田純社長も分かっているが、DeNAトータルでシナジーを出したい。すでに取り組んでいるメンバーがいるので心配することは何もないが、さらに進めたい。

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