アメリカで600万人が「地球平面説」を信じる理由 「陰謀物語」という疑似宗教が持つ力と危険性

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それ以上に懸念されるのは、よくできた弁舌巧みなユーチューブ動画やインターネット上のミームやポッドキャスト──ちょっとした数の有名インフルエンサーは言うに及ばず──に若い人たちがどっぷりと触れているせいで、ミレニアル世代の3分の1が地球の形状について確信が持てなくなったと言っていることだ。

こんなばかばかしい考えが多少なりとも市場シェアを獲得し、何百万人もの若者の心に地球の形状についての疑いを植え付けていること自体、地球平面説の大勝利と言えるだろう。

地球平面説信者が持つ資質

辞書に愚かな考えの同義語として載っている地球平面説を、なぜ少なくない数の人々が受け入れるのだろうか。

地球平面説は釣り竿の先につけた疑似餌のように愚か者を引き寄せる派手で薄っぺらい似非学説だからだ、という説明はあまりにも安易である。

むしろ、地球平面説の旗手たちは創造性、恐るべき弁舌力、心底感心してしまうほどの大胆な意見といったすばらしい知的資質を多々備えているように私には映る。

実際、知的能力の高い人が必ずしも合理的なわけではなく、陰謀論的な空想を紡ぎ出すことに長けている場合がある、という研究もある。彼らは人より優れた知的能力を使って、ルーブ・ゴールドバーグ・マシン(人間が簡単にできることを複雑な連鎖反応によって達成する機械装置)のナラティブ版を考案し、細部を作り込んでいく。作るにも維持するにも桁外れの想像力を要することだ。

これはすべてパララックス本人に間違いなく当てはまっていた。彼は頭がよかっただけでなく、科学的権威を議論で言い負かすほどの弁舌のスキル(加えて闘争心)もあった。

地球平面説信者について理解しておくべき大事な点は、彼らが科学的な好奇心からこの説に引き寄せられたのではないことだ。

地球平面説のコミュニティーを構成しているのはあまのじゃくな科学オタクではない。彼らが自分の見解をめぐって戦うとき、本当の争点は地球の形状ではない。それはしょせん、争うほどのことではない。

地球平面説はある意味では正しいとも言える。というのも、地球は厳密には完全な球体ではないからだ。地質学者は地球を扁球と表現する。両極がわずかに平らでウエスト部分が太くなっているのだ。

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