そのため、まずは緊張する場面でも呼吸筋を柔らかく維持できるようにしておく必要がある。また緊張すると呼吸が浅くなるため、深い呼吸をする訓練も重要となる。
鳥谷さんによると、次のようなトレーニングがおすすめだという。
② 肩を5回ほど上げ下げする
③ 首や足首、手首を5回ほど回す(反対回しも行う)
これらを人前で話すなど、緊張する場面になる前に実践してみることで、呼吸筋が柔らかくなり、息苦しさが改善できる。人目が気になるときは、トイレなど1人になれるところでやってみよう。
このトレーニングは、緊張する場面から一時的に意識をそらす効果もある。理想はすべてやることだが、どれか1つ実践するだけでも効果があるそうだ。
また交感神経が優位になると、手や足などに血液を届ける末梢血管が収縮するため、血行が悪くなり手足が冷たくなる。その場合も、先に紹介したトレーニングを行っていくことで、交感神経が鎮まって末梢血管が広がり、血流が促進される。その結果、体もじんわりしてくる。
ストレッチで息苦しさを改善
姿勢にも気をつけたい。「あがり症のひとはもれなく猫背」と鳥谷さんは話す。横から見たときに背筋がまっすぐになるような姿勢を意識することが大切だという。
「特にオンライン会議のときは、気を付けたほうがいいでしょう。なぜなら、パソコンの画面が目線の下にあることが多いため、背中を丸めた姿勢になりやすいのです」
この場合、パソコンの下に本など厚みのあるものを挟んで、画面が目線の高さにいくようにするとよい。ノートパソコンなら角度調節機能があるスタンドを、デスクトップパソコンなら、ある程度高さのあるディスプレイ台をモニターの下に置いて、画面と目線の高さを合わせる。
また猫背だと肺が圧迫されるため、息苦しくなり、声が上ずりがちだ。姿勢を正すことで呼吸が通るため、声に張りが出てくるという。
会議前に実践できるトレーニング方法以外にも、自宅で実践可能なものもある。
もっとも簡単なのは、入浴中や寝る前などに、「あ、い、う、え、お」と発声練習をするという方法だ。このとき、腹式呼吸をするために、お腹からしっかり声を出すことが大切。
昨今はコロナ禍でマスク生活が長く、大勢の人の前で話す機会も減っている。日頃から自宅でこのような発声練習をすることで、呼吸の浅さを改善しておくと、本番でも声が震えにくくなるという。
「できれば5分程度、普段から続けることをおすすめしますが、毎日実践するのが難しいのであれば、本番前日だけでもやってみてほしい。改善につながります」(鳥谷さん)
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