ブルーマウンテン、不味いと思う人に伝えたい真実 本当は美味なのに流通や販売の打ち出し方に問題

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また、インターネットの普及でSNSや動画投稿サイトでの誤った情報の氾濫も、専門家として大いに危惧しています。さして調べもせず経験もない人たちが、いかにも正しいかのようにコーヒーについて論じています。しかも、それはいわゆるコピペ、コピー&ペーストで拡散されています。

若い人はとくに情報源をインターネットに頼っていますから、SNSにあったことや動画で見たことを、わりと簡単に「真実」と思って覚えているのです。私のところにも「動画で見たんですが、あれは正しいのですか」と質問がきて、時々、突拍子もない間違いであったりして驚かされます。

そんな誤りをいくつか挙げましょう。

ブルーマウンテンに高度の上限はない

ネットでブルーマウンテンコーヒーを検索すると、多くのコーヒー屋さんのホームページでブルーマウンテンとは、「ブルーマウンテン山脈の標高800〜1200メートルで収穫されたコーヒー」と書かれています。私は、7年半ジャマイカに住みブルーマウンテン山脈で3農園を開拓しました。いったいどこからこんな誤った情報が流れたのかと思うとガッカリです。

正しくは「ジャマイカのコーヒー産業公社が定めた、海岸から山に向かって300メートルを超えたブルーマウンテン山脈内の畑で栽培されたコーヒー」が、ブルーマウンテンコーヒーであって、高度の上限はありません。

中には、山脈の中腹でとれるのがハイマウンテンコーヒーで、高地でとれるのがブルーマウンテンと書かれたホームページもありました。

島の中央部と西側にハイマウンテンコーヒー地区がありましたが、現在ではブルーマウンテン地区以外で収穫されたコーヒーの中から、品質のよいものを選んでハイマウンテングレードと称するように変更されました。誰かが誤った情報を流し、それがコピペされて広まったのでしょう。

また、日本のほとんどの店で豆の選別を「ハンドピック」と言っているのも、業界全体に誤った用語が流布した結果です。豆をソート(選別)するのであって、ピック(摘む)ではありません。

ハンドピックとは本来、木からコーヒーの赤い実(コーヒーチェリー)を摘む、手摘みのことを指しています。ほとんどの店でプロたちが誤用していますから、この記事を読んだ皆さんは、正しい知識をつけてください。

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