ブルーマウンテン、不味いと思う人に伝えたい真実 本当は美味なのに流通や販売の打ち出し方に問題
それから、焙煎前に生豆を水洗いする必要はありません。「産地では果肉除去の際に泥水のような水を使っている」というのも誤りです。水洗式のプロセスでは、大量の水を浪費しないようリサイクルして水洗しているので、泥水のように見えるのは果肉の色が水についているだけです。
それに果皮除去機に入れる前に、水に浸けて夾雑物(きょうざつぶつ・混ざっている種々雑多な異物、葉や枝、土など)を取り除き、次に浮力でコーヒーチェリーの品質選別をします。つまり泥や土が豆につくチャンスはまったくありません。乾燥後のコーヒーのプロセスでも土がつくような可能性はゼロです。
薄い緑色をしたコーヒー生豆は固く、輸送中に擦れ合ってできた微粉がつきます。これはホコリや汚れとは違い、豆の一部です。乾燥させた生豆をわざわざ水に浸けて、この微粉を取らなくても大丈夫です。焙煎時には200度以上で焼くので、それらの細かい粉はあっという間に燃えてなくなり、味への悪影響もありません。
生豆の保管方法に触れないのもおかしい
各焙煎店での生豆の保管方法について誰も触れないのも、おかしなことだと思います。生豆は含有水分値が9~12%の状態で輸入されますが、保管してある場所のコンディションによって、水分値は12%以上に上がったり、9%以下に下がったりします。どちらも生豆の品質に大きく影響します。さらに気温の変化が加われば、劣化のスピードは加速します。
そのあたりに注意して生豆を保管すべきですが、麻袋のままで焙煎機の脇にどさっと置かれた風景をよく見かけます。焙煎店はもっと生豆の保管方法に注意を払う必要があると思います。
日本で出版されているコーヒー関連書籍の中には、産地の情報について、明らかな訳し間違いや、質問する相手を間違えて誤った答えを教えられ、それを自説のように記述したものが見受けられます。
これには言葉の問題が大きく関わっています。ほとんどのコーヒー屋さんは、産地に行くと商社に案内してもらいます。コーヒーの商いのプロですが、栽培や精選の知識はありませんし、スペイン語や英語を話せても専門用語には不慣れです。
また生産国によって方言がありますし、単位が違います。例えば、面積でもヘクタールを使う国があればエーカーもあるし、マンサーナもあるしライもあります。コーヒーの重さを量るのもキロもあればポンドもあるし、アローバやキンタールとさまざまです。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら