「カルチャー変革」はトップダウンである。「なんとしてもカルチャーを変えるのだ」という経営トップの強い意志と覚悟、コミットメントがなければ絶対に成功しない。
しかし、だからといって、トップのひとりよがりに陥ってしまってはいけない。最も重要な経営トップの仕事は、「良質なカルチャー」を醸成することなのである。
「カルチャー変革」はトップダウンでスタートするが、その実行は現場主導のボトムアップである。いくら経営トップが「意識を変えろ」「カルチャーを変えろ」と叫んだところで、社員一人ひとりが意識を変え、考え方を変え、行動を変えなければ、何も変わらない。
だから、カルチャー変革の「草の根運動」を泥臭く、現場から仕掛けなければならない。これはとてつもなく面倒くさいプロセスであり、手間がかかる。
「点―線―面」へと広げる段階的アプローチが重要
「現場からのカルチャー変革」といっても、最初から会社全体を対象にカルチャー変革を仕掛けるのは現実的ではない。
組織全体のカルチャーを変革するためには、まずは「点」をつくり、「線」を結び、「面」へと広げていくことが有効である。
私が「カルチャー改革」に携わった大手住宅メーカーでは、はじめに2支店でパイロット展開をおこない、水平展開では新たに8支店が加わった。
最初に2支店にフォーカスし、「起点」をつくったからこそ横展開が可能となり、組織全体としての大きな成功につながったのである。
ここで私がこだわったのは「足元からの改革」だ。後述するように、「現場からのカルチャー改革」のために最も重要な取り組みである。
どんな小さなことでも課題を見つけ、解決に取り組むことで「変化は自分たちで生み出すもの」という意識が支店内に芽生えてきた。
足元の問題を自ら解決することによって、現場の「身体性」は回復する。主体的な行動によって得た気づきや発見が「起点」となり、現場の「頭脳」は回りはじめ、自ら考え、工夫する現場へと変身する。
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