「韓国が歴史問題にあんなにしつこい」深い理由 在日が証言!「水に流せない」のはなぜか?

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韓国のメディアを見ていて気づくもうひとつの特徴的な表現が「道徳的優位性をとる」というものだ。

この言葉がこれほどメディアで使われる国はない。私はいろんな国のニュースを聞いているが、「道徳的優位性を見せるために……」などと言っているのは韓国くらいだ。

たとえば、2019年の半導体部品輸出規制をめぐる動きのときも、「韓国は冷静に対応し、道徳的優位性を示す必要がある」などという論調が存在した。

また、ちょうどこの「道徳的優位性という言葉が政治関連ニュースでよく出てくるな」と思っていた矢先に、ソウルでのとある交渉事で、交渉相手である先方から「ここで大局を見て譲歩してくれたら、あなたは道徳的に上位にいけるではないか」などと、まったくうれしくない説得を執拗にされたこともある。

ちなみに2022年初頭の韓国大統領選挙でも、「私のほうが道徳的なリーダーだ」という論戦が、大統領候補者間のディベートで目についた。

では、この「道徳的優位性」にこだわるのは、いったいなぜなのだろうか?

韓国の日常生活でも重視される「道徳的優位性」

実はここにも、「道徳的に正しい社会を建設する」という儒教観念および、「他人の悪を憎む」という朱子学思想が表れている。

なお韓国儒教は極めて深淵な世界なので、私が完全に理解できるわけもないし、そのようなそぶりも見せるつもりはない。

それでも、儒教のなかでとくに朝鮮王朝で発達した朱子学で盛んだった性理学を学ぶことは、韓国の伝統的な集団的思考回路を理解する重要な一助になるだろう。

琴章泰(クム ジャン テ)の「韓国社会と儒教──韓国儒教の課題と特性」(東京大学コリア・コロキュアム、2004年7月14日)では、次のように指摘している(以下要約)。

朝鮮王朝時代の朱子学は、純正性の追求を特性のひとつとする。したがって価値判断において正当性の基準を画一化させようとする意志が強く、対立するときに折衷や妥協の余地がなくなってしまう。
また「正統論が強化され、異端排斥論が強く、現実への適応力が弱くなり、妥協と包容を通じた和合の機能が衰える」とも論じられているが、これは現代韓国社会にも、結構当てはまる傾向だ。
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