日本外交官が苦言「日本が韓国に失望した」理由 「親韓派ほど韓国から離れてしまった」日韓関係

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2019年、大阪で開催されたG20サミットで。首脳同士の対話も少なく、日韓関係は今も冷却したままだ(写真・ Bloomberg Finance LP)

「最近の韓国には日本を緻密に研究し、対日関係をしっかり管理し改善しようとする作業が見えず、即興的な反応や反発が目につく」「平均的な日本人の心は韓国から離れてしまった。韓国をリスペクトしていた人ほど韓国への失望が深い」

日本の現役外交官の中でも、最も韓国をよく知る道上尚史・日中韓三国協力事務局(TCS)前事務局長(63)が、韓国の総合雑誌『月刊中央』の2021年9月17日発売の最新号に掲載された長文のインタビュー記事で韓国に苦言を呈し注目されている。『月刊中央』は大手紙『中央日報』系列の子会社が発行している韓国を代表する月刊誌だ。

目の前の目標ばかり追求し周りが見えない韓国

道上氏は日本外務省のいわゆる「コリア・スクール」の代表者格で、ソウル大学での研修留学を経て、日本大使館総括公使・文化広報院長、釜山総領事などを歴任するなど韓国勤務が長い。北京の日本大使館でも広報文化センター長を経験している。今回、ソウルにあるTCSのトップとして2年間の勤務を終え、離任に際し韓国誌で自らの韓国体験や日韓関係について語った。

まず長年の韓国体験から「韓国社会の長所短所」について聞かれこう語っている。

「韓国は効率性が高い。ビジネスや学校の勉強で、目標を定めて達成する集中力は韓国の長所だと思う。反面、目に見えない部分や中長期的な視野がやや弱い感じがする。基礎研究を重視する日本のノーベル賞受賞者は、金や名誉を考えていては研究はできないといっているが、効率性は高くても目の前の目標を追求するばかりでは、他の重要な要素は犠牲にならざるをえない。これは今後、より成熟社会になることで克服されるべき課題だろう」

また「韓国の外交」について意見を求められると次のように語っている。

「外交は相手があるため自国の思い通りにはならないものだ。そこでまずは相手がなぜそう主張するのか、相手の事情をよくリサーチする必要がある。国際法、国際慣例はもちろん把握しなければならない。国内説得も重要だ。国益上、最善の方針が国民に不人気なこともあるからだ。自由でないのが外交だ。相手を十分に研究してこそ外交が可能であり、それは屈辱ではない。外交を国内の世論や雰囲気、あるいは「コード(符丁=仲間意識)」で発想すれば国の羅針盤はうまく機能せず、漂流する恐れもある」

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