老親が「実家を片付けられない」のにはワケがある 松本明子さんがプロに聞く「生前整理」のコツ
親世代の価値観を、無視してはいけない
松本:親が元気なうちに片づけをやろうとすると、親が嫌がりケンカになるという話をよく聞きます。生前整理をスムーズに行うにはどうすればいいですか。
上野:生前整理は、親の意向を無視して進めようとすれば必ず衝突します。そこで大事になるのは、自分たちとは違う親世代の価値観を受け入れることです。
松本:私たちの親の世代は物を捨てませんよね。母も、デパートの袋とか包装紙とか、そんなもの取っておいてどうするの、というものまでよく残してました。
上野:価値観が違うんです。だから子どもの世代は、「こんなもの、なんで残しているのよ」とつい言ってしまいがちです。
でも親世代には、その一言で心のシャッターを閉じてしまう人もいます。子どもからすれば不要に見えても、親にとっては何かしら理由があって、人生のどこかでそれを取っておくという選択をしたわけです。
それを「さっさと捨てちゃいなさいよ」と言うのは、親にしてみれば、失礼極まりないし、何も知らないくせに何を言ってるの、という話なわけです。
松本:親からしたら価値観の否定、もっと言えば、人生そのものを否定される感じなのかもしれませんね。