17歳高校生DJが語る「ブックオフ」再評価の必然 110円棚は今や少ない「アルゴリズムの外側」だ

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テレマビ:いろいろありますね。というのも、110円棚コーナーにあるような漫画って図書館には置かれないじゃないですか。それはブックオフならではだなあって感じがしますよね。

谷頭:110円棚の漫画って、いったいどこで売ってたんだよ、みたいな本がいっぱいあるというか。

テレマビ:そうそう、資本主義の残骸みたいな(笑)。そういうのがたくさんあるので、自然とテンションがアガるんですよ。

谷頭:それこそ『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』の富士見ミステリー文庫版とか、今はあまり見られないですもんね。

テレマビ:そうですよね。やっぱり、そういうところで「適当に買ってみる」ことができるのがブックオフの良さかなと個人的には思いますね。

谷頭:学校の図書館には置いてない本もあるし、市の図書館は「市民のためのチョイス」になるから、どうしても置かれにくい本も出てくるものですからね。

ブックオフは「アルゴリズムの外側」だ

テレマビ:あとは今の時代って、ネットでは常にアルゴリズムが働いて、おすすめの商品がおすすめされてしまうじゃないですか。Amazonでなにかを買う時も、YouTubeで音楽を聞く時も、常にそうです。

でも、ブックオフってそういう感じがなくて、ある種の乱雑さがある。そういうのが面白いし、予想してなかった出会いがあると、僕は思うんですよ。

ブックオフ京阪京橋店
町中華にあるタイプの漫画が並べられる棚。「アルゴリズムの外側」ゆえの乱雑さが、新たな出会いを生む。ブックオフ京阪京橋店にて(写真:著者提供)

谷頭:アルゴリズムの外側にブックオフはあると。個人的にはすごく納得する話です。というのも、ブックオフって、今までの書店の空間とは大きくその空間が異なるんですよ。

テレマビ:どういうことですか?

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谷頭:例えば普通の書店では、書店員と呼ばれる人が書棚の編集をして、ある程度本屋の方向性を決めるわけです。独立系の書店になればその傾向はより強くなるし、ブックオフではない古本屋もそういうことが多くて。

例えば、神保町の古本屋はそれぞれの店舗ごとに強い分野がある。あの本屋だったら理科系の本があって、あの本屋だったら哲学系に強い、みたいな感じですね。

テレマビ:わかります。

谷頭:でも、それがブックオフだと、売られたものがそのまま商品構成に反映されるから、ある意味では無秩序なんですよね。だから、新宿のブックオフには『FACTFULNESS』が2段分ぐらい並んでいたりする。そういう、アルゴリズムを超えた書棚があるわけです。

テレマビ:(苦笑)。

谷頭:でも、そういう無秩序で、なんでもありなブックオフだからこそ、いろんな出会いがあって、テレマビさんのような若い世代にも影響を与えているのかもしれませんね。

谷頭 和希 都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家

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たにがしら・かずき / Kazuki Tanigashira

都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家。1997年生まれ。早稲田大学文化構想学部卒業、早稲田大学教育学術院国語教育専攻修士課程修了。「ゲンロン 佐々木敦 批評再生塾 第三期」に参加し宇川直宏賞を受賞。著作に『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』 (集英社新書)、『ブックオフから考える 「なんとなく」から生まれた文化のインフラ』(青弓社)がある。テレビ・動画出演は『ABEMA Prime』『めざまし8』など。

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