17歳高校生DJが語る「ブックオフ」再評価の必然 110円棚は今や少ない「アルゴリズムの外側」だ

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3 ✎ 4 ✎ 5
拡大
縮小

ブックオフに通う中で次第に音楽を作るようになっていったテレマビさんですが、例えば、ブックオフで出会ったCDをサンプリング(編注:ある録音された楽曲や音源の一部を切り出し、それを新たな楽曲の一部として用いる手法のこと)したりするんですか?

テレマビ:いや、サンプリングは表立ってはやらないですね。著作権が怖いんですよね。

谷頭:「DJってそういうものじゃないの!?」というツッコミが上の世代から聞こえてきそうです。

テレマビ:でも、今はSNSで、著作権侵害とかですぐに叩かれちゃう時代ですからね。

谷頭:それが今の10代の感覚なのかも。そうすると、ブックオフでの経験ってどのように創作に影響してるんでしょうか。 

テレマビ:例えば、ブックオフで出会った漫画を買って、読んで「うわー」ってフィーリング感を持った後に、そのまま曲を作ったりするんですよ。

谷頭:なるほど。ブックオフで偶然出会ったものから得たフィーリング感のまま、曲を作るっていうところがあるわけですね。

テレマビ:どこか別のところで言ったかもですが、冬目景の『羊のうた』という漫画を読んで、食らってしまって、『lament of the lamb』という曲を作ったことがあります。

谷頭:ラメント・オブ・ザ・ラム……まさに『羊のうた』ですね。「食らってしまった」とはどういうことでしょうか?

テレマビ:凄すぎるものを見た時に、「うわーっ!」ってなることってありますよね。例えば、フェノールフタレイン溶液ってあるじゃないですか。アルカリにだけ反応するのは教科書で知ってたけど、実際に目にした時、僕はその変化の仕方に「わー、ほんとになるんだ!」「なんか嘘みたいだな……」って思ったんです。そういう驚きに近い感じを、ブックオフで出会った作品から貰うことが多いんですよ。

谷頭:普通であれば、ブックオフで出会った音楽作品をそのままサンプリングしそうなものですが、テレマビさんはブックオフという空間で受けたフィーリングを曲にしている。いわば、「感覚のサンプリング」ってことなのかもしれませんね。

テレマビ:まさに、フィーリングだったり、考え方だったりとかですね。

110円コーナーは「アルゴリズムの外側」だ

谷頭:そういうフィーリングってある意味、「今まで出会ったことのない商品と出会うことから始まる」と思うんですよ。先程も冬目景作品の名前が挙がってましたが、ほかにも「ブックオフじゃないと出会わなかった」ものってあったりします?

次ページ適当に買ってみることができる良さ
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【逆転合格の作法】「日本一生徒の多い社会科講師」が語る、東大受験突破の根底条件
【逆転合格の作法】「日本一生徒の多い社会科講師」が語る、東大受験突破の根底条件
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT