ボウルに入れて、しらすやわかめを和えます。
しょうゆ、酢、砂糖を混ぜた三杯酢を準備します。
器に盛り付けた和え物に三杯酢をかければ出来上がりです。
副菜としてあるとうれしいきゅうりの酢の物。しらすは省略することもできますし、わかめの量を増やしても大丈夫。料理は味の構造さえ守れば、おおらかに考えていいのです。
西洋料理と日本料理のアプローチの違い
先ほどのサラダはきゅうりから水分を抜きすぎず、油(ヨーグルトとオリーブオイル)を使って味付けしました。この素材の味に「塩と油で調理していく」というアプローチは西洋料理の構造です。
一方、きゅうりの和え物はきゅうりに塩を振って水分と風味を抜き、そうしてできた隙間に味を付けていきます。この場合、塩分だけではなく、しょうゆに含まれるうま味成分も足されるので、味わいとしては豊かになります。この素材の味をいったん抜き、そうしてできた隙間に味を含ませていく……というのが日本料理の考え方です。
例えばふろふき大根のような煮物も一度、大根を茹でこぼし、味を抜いたところに出汁の味を含ませていきます。普通はそこにさらにしょうゆやみそなどのうま味を含む発酵食品を組み合わせるので、おいしさが担保されます。この違いはどちらが優れている、優れていないという話ではなく、風土がもたらす文化の差です。
いずれにせよ、きゅうりという同じ食材を使っても、組み立て方を変えれば食卓のバリエーションは広がります。西洋料理的なアプローチと日本的なアプローチ、どのように料理してもきゅうりのさわやかなおいしさは変わりません。
(写真はすべて筆者撮影)
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