筆者の友人Aさんの夫は、コロナでずっとリモート勤務ですが、たまにひとりでごくごく短い時間、近所に買い物に出かけるぐらいで、本格的な外出も友達と会うこともゼロ。
「約3年間、ほぼ家にこもりきりで、私以外に話し相手がいない。仕事をしているうちは、まだ人とコミュニケーションがとれるからいいが、退職したあとは、どうするのだろう」と思案顔です。
ワシントンDCに住むBさんは、アメリカ人の夫が「自分から友達をつくろうとしない」のが悩みのタネです。
まず彼女が友達をつくり、次に夫婦同士で会って、夫がその友人の夫と仲良くなる、というのが常套手段。彼女がすべてお膳立てをしなければならず、ため息が止まりません。
公民館や地域の集会所で開かれる高齢者向けのイベントに行くと、参加者のほとんどが女性で、「旦那さんはどちらですか?」と質問すると、「家にいる」「図書館にいる」と答えるか「空の上」と指差すのです。
こもりきりの夫を見かねて、妻が最初に英語サークルに入り、夫を招き入れたうえで、「夫が馴染んだのを見極めて、自分は退会した」という人もいました。
旅先やレストランで、楽しげな中高年女性の集団をよく見かけますが、プライベートで男性同士というのは多くはありません。
かくいうわが家も母は、習い事に毎日忙しくしていますが、父は数カ月に一度昔の友人と出かけたり、病院に行ったりする程度。家族がいなかったら、誰とも話さない状態になってしまうに違いありません。
「対人関係の構築力」は、男性と女性で大きな差がある
アメリカの心理学者トーマス・ジョイナーは著書『Lonely at the top』(頂上で孤独)で、男性がなぜ孤独になっていくのかを詳細に分析しています。
「男性は成功と権力を追求する過程で、友人や家族を『当たり前の存在』とみなす傾向があり、女性に比べて『関係性を構築する努力』をしない。男の子同士の交流は、たとえば、スポーツや興味がある『モノ』を通じて成立しているため、それほど、『人』に対する気遣いをする必要がなく、関係維持にそれほどの熱意を注ぐことがない」のだそうです。
一方、「女性は小さいころから、複雑な人間関係を読み解き、お互いの表情や感情を気遣いながら、共感関係を構築し、維持する訓練をしており、結果的に、男女の間で、対人関係の構築力に大きな差が出てしまう」と結論づけました。
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