結果的に、ある調査によれば「悩み事を相談できるような友人がいないという人は全体で2割に対し、男性50~60代で3割台、70歳以上では半数を超える」事態になっています。
「ひとりが楽しい」という人はそれでいいのですが、現実には、「他者との接触や友人数が多い人ほど、生活に満足している割合が高く、とくに30~50代の中年男性では、『悩み事の相談相手の人数』によって『生活満足度』が大きく異なる」という結果が出ています。
「ひとり時間」は大いに楽しむべきですし、付き合いが多ければ多いほどいいわけでもなければ、「友達いない」=「孤独」ということでもありません。「ひとりでいること」と望まない「孤独」は別物です。
いまの時代、ひとりで生きていく力は必要でしょう。ただし、楽しいはずの「ひとり」が、いつの間にか望まぬ「孤独」につながる可能性は否定できません。
問題は、本当は「誰かとつながりたい、話したい」、「寂しい」という気持ちがあるのに、それを無理に抑え込まなければならない状況です。
人は「何かにつながりたい生き物」です。うまく人とつながれず、不安を感じると、特定の人(たとえば妻や母親)、アルコールやあやしい宗教、極端な思想に「依存」したり、心身に影響が出たりという状況が生まれやすくなります。
2019年5月のアメリカの女性誌『ハーパーズバザー』の「男性には友達がいない。だから、女性がその重荷を背負わなければならない」という記事にはこう書かれています。
「男性は、ほかの男性の前では、ストイックなロボットのようにふるまうことを求められ、親密な関係性を築けない。結果、(妻などの)女性が心の支えになり、依存するようになる」。そうやって、気がつくと「妻が唯一のつながり」であり、「社会への窓口」になっていたりするわけです。
「雑談力」で、「他人以上、友達未満」のゆるい関係を大切に
というわけで、中高年男性にとっては、友達づくりの負荷やハードルはかなり高いと言わざるをえません。
「では、どうしたらいいのか?」と尋ねられた時、私は、「家族」「肩書」「会社」の3Kに依存するのではなく、「趣味」「仕事」「知り合い」の3つのSを大切にしましょうとおススメしています。
束縛感のある関係性を無理につくろうとする必要もないでしょう。それよりも大切にしたいのは「見知らぬ人以上、友達未満のゆるい関係」。
スナックや喫茶店などでの何気ない会話。顔見知りや近所の人とのちょっとした立ち話。病院の先生や行政の関係者、お店の人とのやり取り。
コロナで、コミュニケーションは希薄化し、将来的には、お一人様がデフォルトになる時代がやってきます。だからこそ、改めて、礼節をもって関係性を維持するコミュニケーションスキルの重要性が高まっています。
身の回りの「一期一会」を大事にし、緩やかに気持ちよくつながり続ける。そのための最強の武器が「雑談力」というわけなのです。
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