OECDは、今後10年程度、日本経済について1%成長を見通している。日本政府の見通しはもっと楽観的だ。しかし、過去の実績と比較すると、1%成長を実現できるかどうか、疑問だ。それが実現できないと、高齢化社会への対処で大きな問題が発生する。
昨今の経済現象を鮮やかに斬り、矛盾を指摘し、人々が信じて疑わない「通説」を粉砕する──。野口悠紀雄氏による連載第74回。
OECDは、日本は今後順調に成長すると予測
日本は将来に向けてどの程度の経済成長を実現できるだろうか?
いくつかの機関が、世界経済に関しての長期的な経済予測を行っている。
OECDの長期予測は、2016年に行われたが、その改訂版が2021年10月に公表された。
日本とアメリカについて、2060年までの年平均実質GDPの成長率を10年ごとの区間に区切って見ると、図表1に示すとおりだ。
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この予測では、2015年基準の実質値を、2015年基準の実質為替レートでドルに換算して示している。将来の為替レートがこのままの形で実現するとは限らないので、将来時点のGDPの絶対値を各国間で比較することに意味があるとは思えない。
しかし、この指標による各国ごとの成長率は、各国通貨建ての実質値の成長率と同じ値になるはずなので、異なる国の値を比較するのは意味がある。
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