1%成長と0.5%成長とでは、40年後には2割以上の差が生じる。税収や保険料収入の違いは絶大だ。
1%成長を前提として収支計画をたて、実際には0.5%成長しかできなければ、1人当たり負担は2割増える。あるいは、1人当たり給付を2割減らさなければならなくなる。
逆に言えば、経済成長率の差で、労働力人口の減少をカバーできるのだ。
「成長、成長」と言うと、「そんなに成長を追い求めなくてもよいではないか」という意見が出てくるかもしれない。
日本は世界を征服しようなどと思わなくてもいい。もっと豊かになろうなどと考えなくてもいい。足るを知ることこそ重要だ、等々の考えがあるだろう。
しかし、すでに見たことからわかるように、日本が今後とも成長できるか否かは、「今後の超高齢化社会において、高齢者を支えることができるか」という差し迫った必要性を満たせるかどうかを決める最重要の条件なのである。
成長率が0.5%か1%のどちらになるかによって、負担や受けられるサービスが大きく変わってくる。高齢者を支えるためには、成長がどうしても必要だ。
「分配なくして成長なし」と言われるが、実際には、「成長なくして分配なし」なのだ。
国債で賄えばよいのか?
「財源が足りないのであれれば、国債で賄えばよいだろう」という意見がある。
こうした考えは、コロナの期間に強まった。大規模な財政支出が行われ、その財源のほとんどが国債発行で賄われた。日本でもそうだったし、アメリカをはじめとする欧米諸国でもそうだった。
そして、国債を大量発行したにもかかわらず、金利が上昇しなかった。それは、経済全体の需要が縮小していたからだし、中央銀行が市中から巨額の国債を買い上げたからである。
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