「ベースラインケース」では、2026年までは1%を超える率だ。その後も1%程度の成長率が想定されている。
日本政府の多くの予測が、これを外挿(ある既知の数値データを基にして、そのデータの範囲の外側で予想される数値を求めること)する形でなされているので、この予測は重要なものだ。
公的年金、社会保障見通しにおける経済成長率も、この推計をベースとしている。
以上で見たように、OECDの予測も財政収支試算の予測も、これまでの日本の成長率に比べれば、かなり高い成長率を想定している。
とりわけ、財政収支試算の見通しは、過去の実績に比べて楽観的すぎると言わざるをえない。
過去の成長率からみて、今後の日本が1%成長を継続できるかどうかは、疑問だ。
実際、1995年からの年平均成長率は0.71%だ。今後は労働人口が減ることを考えると、1%成長を実現することは容易でない。
成長率の違いは絶大な差をもたらす
想定していた高い成長率が実現できないと、どうなるか?
税収や保険料収入が確保できなくなる。社会保障政策をはじめとするあらゆる施策の財源が確保できなくなるのだ。
成長率が1%と0.5%の差は大きい。とくに、10年後、40年後には、このいずれかで大変大きな差が生じる。
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